東京でカラヴァッジョ 日記

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藝「大」コレクション(東京藝術大学大学美術館)

2017年08月05日 | 展覧会(日本美術)
東京藝術大学創立130周年記念特別展
藝「大」コレクション
パンドラの箱が開いた!
2017年7月11日〜9月10日
東京藝術大学大学美術館
 
 
 
   想像以上に楽しめる展覧会。
 
   東京藝術大学のコレクションの「名品編」。
   加えて、6つの「テーマ編」および2つの「アーカイブ編」から構成される。
   前期(〜8/6)・後期(8/11〜)で作品の一部入替えあり)。
 
 
 
 名品編
 
   国宝2点、重要文化財25点を含む飛鳥時代から昭和時代までの日本美術の名品58点が展示される(前期35点、後期33点)。
 
 
   一番のお気に入り作品は、
 
 
高橋由一
重文《美人(花魁)》
明治5年、油彩・カンバス
 
 
   モデルは、吉原でも格式の高い店である稲本楼に属する全盛の名妓と言われた、当時23歳頃の小稲。小稲は、完成した絵を見て「私の顔はこんなんじゃない」と泣き出したとのこと。浮世絵美人を想像していたのだろうから、困惑度合いは尋常ではなかっただろう。人気商売だし。
 


   もう一つ挙げると、
 
小倉遊亀
《径》
昭和41年
 
    母親、子供、犬。夏らしくて非常に楽しい。
 
 
    他には、高橋由一の重文《鮭》、原田直次郎の重文《靴屋の親爺》、奈良時代の国宝《絵因果経》(前期のみ)など。偏った好みだ。
 
 
 
 
6つの「テーマ編」
 
 
「現代作家の若き日の自画像」。
 
   「1950年代から80年代に生まれ、とりわけ活躍の目覚ましい作家」の東京藝術大学卒業時に提出した自画像。前後期あわせて30人(前期22人、後期21人)。
 
   美術館での個展を見たことのある、村上隆氏、会田誠氏、山口晃氏、松井冬子氏や、申し訳ないけれども名前を知らない作家たち。皆さんの真剣度合いは分からないが、ひねくれた作品が多いなぁ、と感心する。
 
   会場内解説パネルによると、自画像の納入は、油彩画が明治31年、日本画が昭和51年、彫刻が昭和62年、工芸が平成9年から実施。大学の買い上げが基本だが、学生からの寄贈による年度もあったり、歴史のある油彩では中断時期があった(戦中・戦後間もない昭和18-24年、財政難と特権的待遇に対する批判による昭和30-47、49年)りしているとのこと。
 
 
 
「卒業制作-作家の原点」。
 
    第1期生の横山大観(明治26年)から始まるコーナー。物珍しく見たのが、平成27年の町田美菜穂氏の《首都っ娘-首都高速道路擬人化プロジェクト-》。首都高が何号線まであるのか知らないけれど、その数の萌え系少女たちが各首都高の路線と同じポーズをとり、周辺の施設によりキャラ造形をしている。
 
 
 
アーカイブ編
 
   「藤田嗣治資料」と「記録と制作-ガラス乾板・紙焼き写真から見る東京美術学校」。
 
 
   後者は、美術品などを撮影したガラス乾板と写真実物が展示されるほか、デジタル化したものをiPadで見せる機器も2台設置されている。
 
   喜んで見たのが、1852年にフィレンツェで創業し現在も続くアリナーリ兄弟社製の美術品を撮影した特別写真。写真実物展示は前後期1点ずつだが、機器では1,100点超の写真を見ることがてきる。めくっているだけで時間がたつ。
 
   東京藝術大学大学美術館HPからも、「藤田嗣治資料」と「ガラス乾板・紙焼き写真資料」の研究資料データベースへのアクセスが可能。因みに「アリナリ製特別写真」で検索すると1,586件ヒットする。ただし、画像は無しである。
 
 
 
 
   出品番号がふられていないので、出品リストとの照合確認が難儀。
   また、制作年が元号のみの表記(制作年が明確な場合)。明治より前の元号に疎い私には、いつの頃の作品なのかさっぱり分からず。作品を見ればある程度分かるだろうと期待されても。せめて出品リスト掲載順を見れば推測できるかも、ここで出品番号無しが障害となり、確認の手間を拡大させ、本人としては不本意な作品前渋滞の要因となる。(訂正:作品名キャプションの英語を方を見れば、西暦の記載があることを後日気付きました。)
 


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