テルマエ展
お風呂でつながる古代ローマと日本
2024年4月6日〜6月9日
パナソニック汐留美術館
山梨、大分に続き、東京にやってきた本展(東京の次は神戸)。
【本展の構成】
序章 テルマエ/古代都市ローマと公共浴場
第1章 古代ローマ都市のくらし
1-1 庶民の日常
1-2 娯楽
1-3 饗宴
第2章 古代ローマの浴場
2-1 アスリートと水浴
2-2 医療と健康
2-3 女性たちの装い
2-4 テルマエ建築と水道技術
第3章 テルマエと美術
第4章 日本の入浴文化
4-1 入浴と信仰
4-2 戦国武将と温泉
4-3 江戸の入浴文化
4-4 近世以降の入浴文化
序章から第3章の古代ローマ部門は、110点ほどの展示品。
ナポリ国立考古学博物館の所蔵品が32点。
他は、岡山市立オリエント美術館、平山郁夫シルクロード美術館、MIHOミュージアム、国立西洋美術館(橋本コレクション)など、国内所蔵品。
第4章「日本の入浴文化」は、30点ほどの展示品。
第3章と第4章後半が撮影可能。
第3章「テルマエと美術」
《恥じらいのヴィーナス》
1世紀、ポンペイ出土、高さ130cm、大理石
ナポリ国立考古学博物館
慎ましやかに右手で胸を、布をつまんだ左手で恥部を隠すしぐさをする全裸のヴィーナス像。
これは「恥じらいのヴィーナス(ウェヌス・プディ力)」と通称される彫像タイプで、ヘレニズム時代からローマ時代に、コピーや衣の有無や位置が異なるヴァリアントが多数つくられた。
このヴィーナス像はアポロ神域で出土したが、すぐそばのヴィーナス神殿の改修作業にともないー時的にこの神殿に置かれていたという可能性もある。
《海から上がるヴィーナス》
1世紀、ポンペイ出土、高さ37cm、大理石
ナポリ国立考古学博物館
下半身にマントを巻いた姿で、両手を上げ、濡れそぼった髪を絞るヴィーナスの小像。
端が蛇の形をした金の腕輪を両腕にはめ、首元にはフィリグリー(金線細工)の首飾りをつけている。
すぐそばで見つかった金の耳飾りも、この女神像のものだろう。
6点からなる第3章。
他4点は、ナポリ国立考古学博物館のフレスコ画と、MIHOミュージアム、個人蔵、アーティゾン美術館の所蔵品。
同じ展示エリアには、カラカラ浴場の復元縮小模型(縮尺1:250)の展示や、映像による「古代ローマのテルマエ」紹介がある。
第4章「日本の入浴文化」の後半
《「永生湯」銭湯の暖簾》昭和29年
《「入浴の御注意」ホーロー看板》昭和30年代
《ケロリンの桶》昭和38年〜平成時代頃
《明神湯》
東京都大田区にある昭和32年創業の銭湯。
神社仏閣や城郭を思わせる威風堂々とした外観は、東京で関東大震災以後に登場した銭湯建築の典型である。入母屋造りの大屋根と玄関上部の唐破風、その下の兎毛通(懸魚の一種)、坪庭、脱衣所の吹き抜け上部の折り上げ格天井には、宮造りの技術と意匠が生かされている。
模型は開業当時の姿を再現したもの。縮尺は25分の1である。
会期中に3日間ある夜間開館時に訪問したが、結構賑わっている。
ヤマザキマリ氏の漫画『テルマエ・ロマエ』の続編が、連載開始されたことを知る。第1巻は刊行済み。