コートールド美術館展 魅惑の印象派
2019年9月10日〜12月15日
東京都美術館
コートールド家は、18世紀末より絹織物業に従事。20世紀初頭にレーヨンの製造に参入したことで巨万の富を築く。
サミュエル・コートールド(1876-1947)は、1921年にコートールド有限会社の会長に就任し、その翌年から妻エリザベスが亡くなる1931年までの約10年間、至極の印象派・ポスト印象派作品たちを蒐集する。蒐集は1923〜29年に集中的に行われた。
今回出品作品のうちコートールド旧蔵の作品については、本展図録の作品解説に、作品の購入年月や購入価格の記載がある。
今回出品された油彩画は51点。
うちコートールド旧蔵の作品は44点。
うち購入価格が判明している作品が40点。
そこで購入価格トップ10を確認する。
1位
ルノワール《桟敷席》
1925.5購入
約22,600ポンド
+追加手数料おそらく1,600ポンド
2位
マネ《フォリー=ベルジェールのバー》
1926.3購入
約22,600ポンド
+手数料1,500ポンド
3位
セザンヌ《大きな松のあるサント=ヴィクトワール山》
1925.3-4購入
14,250ポンド
4位
ゴーガン《テ・レリオア》
1929.7購入
13,600ポンド
5位
セザンヌ《カード遊びをする人々》
1929.3購入
12,500ポンド
6位
ロートレック《ジャム・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》
1929.12購入
10,400ポンド
7位
マネ《草上の昼食》
1928.6購入
10,000ポンド
8位
ゴッホ《花咲く桃の木々》
1927.5購入
9,000ポンド
9位
ドガ《舞台上の二人の踊り子》
1927.6購入
8,560ポンド
10位
セザンヌ《アヌシー湖》
1926.1購入
8,000ポンド
次点(11位)
マネ《アルジャントゥイユのセーヌ河岸》
1923.8購入
7,500ポンド
次点(11位)
セザンヌ《パイプをくわえた男》
1927.10購入
7,500ポンド
次点(13位)
ルノワール《アンブロワーズ・ヴォラールの肖像》
1927.6購入
約6,450ポンド
次点(14位)
ルノワール《春、シャトゥー》
1927.6購入
5,500ポンド
ゴーガン《ネヴァーモア》は、1924.7以前に購入したとされるが、購入価格は不明である。第4位の《テ・レリオア》(1929.7購入)の購入価格に近い価格と仮定してよいだろうか。その時点(1924.7時点)でコレクション内で最も高価な作品となってしまうが。
《ネヴァーモア》以外の購入価格が不明の出品作品は、アンリ・ルソー《税関》、モディリアーニ《裸婦》およびボナール《青いバルコニー》の3点である。
今回来日しなかったが、スーラ《化粧をする若い女性》についても確認する。購入時期は1926年、購入価格は不明とのこと。トップ10入りするレベルなのだろうなあ。
これまで来日したことのない、ゴッホ《耳に包帯をした自画像》についても確認したいが、現時点ではその術を知らない。
第1位を獲得したルノワール《桟敷席》
本体価格は同額も、手数料の僅かな差で惜しくも2位、マネ《フォリー=ベルジェールのバー》
購入価格が高い作品順=現在のコートールド美術館の目玉作品順に概ねなっている。それはそうである。