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来日した作品、来日しなかった作品 - 「コートールド美術館展 2019-20」

2019年09月25日 | 展覧会(西洋美術)
   コートールド美術館展は、これまで1984年と1997-98年の2回開催されており、今回は21年ぶり3回目の開催となる。
 
 
コートールド美術館展   魅惑の印象派
2019.9.10〜12.15   東京都美術館
2020.1.3〜3.15   愛知県美術館
2020.3.28〜6.21  神戸市立博物館
 
コートールド・コレクション展 
1997.12.26〜98.2.17  日本橋高島屋 
1998.2.20〜3.17  なんば高島屋   
1998.4.16〜5.12  京都高島屋
 
印象派・後期印象派展 : ロンドン大学コートールド・コレクション
1984.1.12〜2.28  日本橋高島屋
1984.3.8〜4.3   四条高島屋
1984.4.12〜5.8   なんば高島屋
 
 
   それぞれの出品数は、次のとおり。
 
2019-20年:60点
   油彩51点、彫刻9点
1997-98年:131点
   油彩53点、素描28点、版画50点
1984年:100点
   油彩55点、水彩・素描・版画45点

   今回は、総出品数は過去2回より少ないとはいえ、油彩画数はほぼ同数、そして彫刻が今回初登場となっている。
 
 
 
   そこで、今回の油彩画出品作51点について、過去2回の出品状況を確認する。
 
No.01
ホイッスラー
《少女と桜》
1867-72年
個人蔵(美術館に長期貸与)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.02
ゴッホ
《花咲く桃の木々》
1889年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.03
モネ
《アンティーブ》
1888年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.04
モネ
《花瓶》
1881年着手
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.05
セザンヌ
《アヌシー湖》
1896年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.06
セザンヌ
《レ・スール湖、オスニー》
1875年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.07
セザンヌ
《ノルマンディーの農場、夏(アッタンヴィル)》
1882年
個人蔵(コートールド旧蔵、美術館に長期貸与)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.08
セザンヌ
《ジャス・ド・ブッファンの高い木々》
1883年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.09
セザンヌ
《大きな松のあるサント=ヴィクトワール山》
1887年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.10
セザンヌ
《鉢植えの花と果物》
1888-90年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.11
セザンヌ
《カード遊びをする人々》
1892-96年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.12
セザンヌ
《パイプをくわえた男》
1892-96年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.13
セザンヌ
《キューピッドの石膏像のある静物》
1894年頃
1997-98年:×
1984年:◯
 
 
No.14
ブーダン
《トゥルーヴィルの浜辺》
1875年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.15
ブーダン
《ドーヴィル》
1893年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.16
マネ
《アルジャントゥイユのセーヌ河岸》
1874年
個人蔵(コートールド旧蔵、美術館に長期貸与)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.17
モネ
《秋の効果、アルジャントゥイユ》
1873年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.18
ピサロ
《ロードシップ・レーン駅、ダリッジ》
1871年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.19
シスレー
《雪、ルーヴシエンヌにて》
1874年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.20
シスレー
《セーヌ川の船》
1877年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.21
ピサロ
《ラファイエット広場、ルーアン》
1883年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.22
シニャック
《サン=トロペ》
1893年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.23
アンリ・ルソー
《税関》
1890年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.24
ルノワール
《春、シャトゥー》
1873年頃
個人蔵(コートールド旧蔵)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.25
ルノワール
《ポン=タヴェンの郊外》
1888-90年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.26
ルノワール
《アンブロワーズ・ヴォラールの肖像》
1908年
1997-98年:×
1984年:◯
 
 
No.27
ルノワール
《靴紐を結ぶ女》
1918年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.29
ルノワール
《桟敷席》
1874年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.31
ドガ
《舞台上の二人の踊り子》
1874年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.32
ロートレック
《ジャム・アヴリル、ムーラン・ルージュの入口にて》
1892年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.33
ロートレック
《個室の中(「ラ・モール」にて)》
1899年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.34
マネ
《草上の昼食》
1863年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.35
マネ
《フォリー=ベルジェールのバー》
1882年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.36
ドーミエ
《ドン・キホーテとサンチョ・パンサ》
1870年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.37
ドガ
《窓辺の女》
1871-72年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.38
ドガ
《傘をさす女性》
1870-72年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.39
セザンヌ
《曲がり道》
1905年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.40
スーラ
《クールブヴォワの橋》
1886-87年頃
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.41
スーラ
《釣り人》
1884年頃
個人蔵(コートールド旧蔵、美術館に長期貸与)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.42
スーラ
《舟を塗装する男》
1883年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.43
スーラ
《水に入る馬》
1883年頃
個人蔵(コートールド旧蔵、美術館に長期貸与)
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.44
スーラ
《グラヴリーヌの海辺》
1890年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.45
モディリアーニ
《裸婦》
1916年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.46
スーティン
《白いブラウスを着た若い女》
1923年頃
1997-98年:×
1984年:×
 
 
No.47
ボナール
《室内の若い女》
1906年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.48
ボナール
《青いバルコニー》
1910年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.49
ボナール
《オリーヴの木と教会のある風景》
1924年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.50
ヴュイヤール
《屏風のある室内》
1909-10年頃
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.57
ゴーガン
《干し草》
1889年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.59
ゴーガン
《ネヴァーモア》
1897年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
No.60
ゴーガン
《テ・レリオア》
1897年
1997-98年:◯
1984年:◯
 
 
   目玉作であるマネ《フォリー=ベルジェールのバー》《草上の昼食》、セザンヌ《カード遊びをする人々》《パイプをくわえた男》、ルノワール《桟敷席》、ドガ《舞台上の二人の踊り子》、ゴーガン《ネヴァーモア》《テ・レリオア》、ロートレック《ジャヌ・アヴリル》は、過去2回とも来日してくれており、基本的には、3回の展覧会はほぼ同じ作品で構成されているといえる。
 
 
   今回が初登場の作品もある。ホイッスラー、セザンヌ1点、マネ1点、ルノワール1点、スーラ3点、スーティンの計8点。うち6点が「個人蔵」とある。「個人蔵」とある作品は全て今回が初登場である。
   私的には、マネ《アルジャントゥイユのセーヌ河岸》とスーティン《白いブラウスを着た若い女》の登場が嬉しい。
 
 
   一方、過去2回来日したが、今回来日しなかった作品もある。
 
   代表は、
 
スーラ
《化粧をする若い女性》
1888-90年頃
 
   1997-98年のときは、この絵を見た記憶がなく、来日していないものと思い込んでいた。そう言われてみると、期待いっぱいでこの絵の前に立ったものの、今一つピンとこなかったような記憶があるような気がしてきた。いずれにせよ今回来日しなかったのは残念。この絵は、2019年7月から20年秋までスコットランド国立美術館に長期貸与されているようである。
 
   それ以外にも、スーラ《「シャユ踊り」のための習作》、マネ《舞踏会にて》、ベルト・モリゾ《婦人の肖像》やココシュカ作品などが挙げられる。
 
 
   ところで、今回も過去2回も来日していない、コートールド美術館の名品がある。
 
ゴッホ
《耳に包帯をした自画像》
1889年
   どうやら作品が脆弱で、貸し出しに耐えられる状態ではないという話を聞いたことがある。ロンドンに行かないと見ることができない作品であるようだ。
 
 
   15〜20年に1回、日本にて、館蔵の印象派作品の展覧会を開催し、惜しみなく名品貸し出してくれているコートールド美術館および日本の関係者に感謝である。次の15〜20年後も期待します。
 


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