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特別調査委員会による調査の進捗に関するお知らせ(第2報)(I T b o o k ホ ー ル デ ィ ン グ ス)

特別調査委員会による調査の進捗に関するお知らせ(第2報)(PDFファイル)

I T b o o k ホ ー ル デ ィ ン グ ス(東証グロース)のプレスリリース(2023年8月10日)。

会計処理の一部に疑義があるとの外部機関からの指摘を調査している特別調査委員会(今年6月に設置)の進捗状況を開示するものです。

調査報告書を、 2023 年8月 18 日に受領見込みとのことです。

「現時点で特別調査委員会から調査進捗について予定通り進んでいる旨の回答をいただいており、調査報告書に関しては 2023 年8月 18 日に受領となる見込みです。」

疑義の概要。

「(1)2021 年8月に当社がアパテックジャパン株式会社の株式を 200 百万円で取得し、2022 年3月末に 194 百万円の投資有価証券評価損計上しております。株式取得時の取得価額について、高すぎるのではないかとの疑義があります。

(2)新型コロナウィルスの影響で経営が悪化した株式会社三鈴株式を 2021 年8月に売却した際の連結調整仕訳について、連結範囲外となる会計期間に発生する連結上の株式売却益を計算する際に 113 百万円が過大に計上された結果、特別利益が 113 百万円過大に計上されております。

(3)ITbook テクノロジー株式会社(以下、「ITbook テクノロジー」といいます。)にて、2022 年5月に 2022 年3月期の決算手続中に、2021 年3月期の決算にて、本来計上するべきではない棚卸資産の水増し計上・売上の前倒し計上の指示を行っていた事実が発覚しました。その際に 2021 年3月期の決算について 2022 年5月の調査において発覚した不正会計の金額的影響を訂正開示するべきとの疑義があります。2021 年3月期決算において本来計上するべき棚卸資産 130 百万円が過大に計上された結果、売上原価が 130 百万円減少し、営業利益・経常利益・当期純利益が 130 百万円増加しております。

なお、本件に関しては、不正会計が発覚したため、前任の会計監査人である監査法人ナカチからも調査委員会の設置の提案はありましたが、当社顧問弁護士による調査を実施していたため、調査委員会の設置は行っておりません。

(4)上記(3)とは別に ITbook テクノロジーにおいて、2022 年5月にシステム開発サービス提供後に客先から発行される検収書に基づき売上計上するべき内容を 2021 年3月に売上計上されており、2021 年3月の売上高が 10 百万円過大計上されている疑義があります。」

2023 年3月期の有価証券報告書(提出期限を 2023 年8月 31 日までとする承認を得ている)は、調査報告書をもとに修正仕訳を行い、監査法人による監査の後に確定する予定とのことです。 2021 年3月期および 2022 年3月期の有価証券報告書等の過年度訂正も行うようです。

疑義のうち、(2)(3)(4)は、原因を調べる必要はあるものの、正しい会計処理に修正すればよいということでしょうが、(1)は、株式の取得価額が高すぎるかどうかは判断が必要でしょうし、何か不正な金額が取得価額に含まれていたとすれば、問題は複雑です。取得後1年もたたないうちに、ほぼ全額評価減するというのは、たしかにあやしすぎますが...。

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