日本M&Aセンターホールディングス(東証1部)が、多数が関与した不正会計をやっていたという記事。
「外部弁護士らによる調査報告書によると、報酬が出ていない仲介案件が成約したかのように装って売り上げを計上していた。顧客の署名や印鑑をコピペ(コピー&ペースト)するなどして契約書の写しを偽造。不正の多くは部長らが指示したり了解したりしていた。83件のうち13件は成約に至らず、報酬が入らなかったという。」
こんなところに自分の会社の運命を託するようなM&A仲介を頼んで大丈夫なのでしょうか。
会社のプレスリリースや調査報告書では、「期間帰属」とか「期ずれ」だと強調し、さも小さな問題のようにいっていますが、成約に至らず報酬をもらえないような売上を計上したら、悪質な架空売上でしょう。(調査報告書では、M&A案件として交渉プロセスは存在しているので「架空」ではないという甘い見方をしています。)
監査人はトーマツです。大きな利益を出している会社なので、油断したのでしょうか。
調査委員会の調査報告書の受領及び公表に関するお知らせ(PDFファイル)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/66/dd/8ae4a7708c2a1bb0e8ce5947a864ba6b.png)
(調査報告書42ページより)
過年度の訂正報告書等の提出及び決算数値訂正に関するお知らせ(PDFファイル)
訂正報告書の監査報告書でKAMがどうなっているのか見てみました。「M&A仲介事業の成功報酬売上における不正」という項目を設けています。
スペースの関係で「監査上の対応」の部分だけ全文引用しますが...
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/05/4d/0d2d2bb6002e654362005ceb760f51c3.png)
(第30期訂正有価証券報告書より)
「監査上の主要な検討事項の内容及び決定理由」の中では、
「会社はM&A仲介事業の成功報酬売上の計上根拠の一つとして、顧客であるM&A案件の譲渡企業及び譲受企業間の最終契約書等の写しを用いている。しかし、調査委員会による調査の結果、社内報告に用いるその写しを偽造することで、最終契約が締結されぬまま本来計上される期間よりも前に売上計上を行った事例など、案件担当者による意図的な取引計上時期の操作が複数発見され、不正による重要な虚偽表示が認められた。」
「有価証券報告書の訂正報告書に含まれる連結財務諸表の監査にあたっては、訂正の原因となった不正による重要な虚偽表示の内容や範囲を網羅的に理解した上で、その発生原因、当該不正による重要な虚偽表示の類似取引の有無及び連結財務諸表に対する影響の検討が必要となる。」
といった記述が見られます。