米国におけるイニシャル・コイン・オファリング(ICO)の実態を取り上げた記事。
本家本元でもいい加減なスキームや詐欺が横行しているようです。
「仮想通貨が詐欺師たちの天国と化しているのは、市場が比較的新しく誇大な話がまん延し、またその根幹をなす技術が複雑だからだ。不動産事業をやっていると嘘をつくより、今年予定するICOの話をちらつかせる方が、投資家を簡単にだませる。必要なのは派手なウェブサイトと、それらしく見えるホワイトペーパーだけだ。」
「...ブロックチェーンの世界のスタートアップの創業者たちは投資家に対して、これは株のような従来の有価証券に金を払うことではなく、技術そのものへの投資だと説明することもある(しかし、それが実際に何を意味しているのかは不明確なことが多い)。また7億ドル以上の調達に成功したblock.oneのように、これよりさらに踏み込んで、トークンはまったく何にも使うことはできないと明言するスタートアップもある。」
「ICOの条件は通常、ホワイトペーパーに書かれている。問題のスタートアップが有望な投資機会かを判断するために与えられたほとんど唯一の資料だ。多くのICOでは、ある程度は完成したソフトウェアなど実際のプロダクトは何も存在しないのに、仮想通貨で何百万ドルといった金額が動く。
またプロトタイプがある場合でも、技術的なことに精通した投資家でなければそれが成功を納めるかどうかを見極めることは難しいだろう。さらにスタートアップは自分たちでホワイトペーパーを書くことすらせず、外注で済ましてしまうことも多い。」
米証券取引委員会(SEC)も摘発に乗り出しているそうです。
「ICOは伝統的な株取引との類似性にも関わらず、これまで証券取引を管轄する米証券取引委員会(SEC)の徹底した調査を受けてこなかった。ブロックチェーンの多くは国際的かつ匿名で、SECの管轄外にある。ICO詐欺が横行するもうひとつの原因は、ここにあるだろう。
しかし最近では、仮想通貨の取り締まりが始まったようだ。新設されたSECのサイバー捜査部門は昨年12月、ICO関連で初めての訴訟に踏み切った。PlexCorpsという仮想通貨スタートアップに関わった2人のカナダ人に対してのものだ。訴状によると、この2人は投資収益率1,354パーセントという非現実的な数字を基に、顧客から合わせて1,500万ドルを騙し取ったという。
1月30日には、テキサス州ダラスを拠点とするアライズバンクに対し、実現すれば過去最大規模となったICOの差し止め命令がなされている。アライズバンクは「分散型金融機関」をうたい文句に著名人からの支持も集めたが、広告に連邦預金保険公社(FDIC)の預金保護を受けられるとの虚偽の情報が含まれていたことが問題視された。」
日本の金融庁はどうなっているのか...
大幅下落が続く仮想通貨と注目されるコインチェック事件への日本の当局の対応(NRI)
「2017年4月の資金決済法の改正によって、日本は世界に先駆けて、仮想通貨を定義し、また取引所に登録制を導入、顧客資産との分別管理を義務付けるなどの規制を導入した。
しかし、中国、米国、韓国といった、他の仮想通貨取引の中心地と比較すると、日本の規制の程度は緩い。その結果、海外での規制が強化されると、規制逃れで取引は日本に移りやすくなっている。これは一種の規制アービトラージ(回避)である。今回のコインチェックの事件の発生を受けて、海外当局者の間で、日本での規制、監督の緩さがそれに関係しているとの見方が広がり、日本の当局に対する批判が高まることも考えられよう。 」
監査法人も、詐欺的スキームにお墨付きを与えるようなことにならないよう注意が必要かもしれません。
ICOへのサイバー攻撃は月平均100回、恰好の標的に=報告書(ロイター)
「グループIBがアーンスト・アンド・ヤング(E&Y)と実施し、先に公表した報告に基づくと、これまでのICOによる資金調達総額37億ドルのうち、およそ10%に相当する4億ドル程度がサイバー攻撃によって盗まれた。」
北朝鮮、仮想通貨数十億円奪う? 韓国にサイバー攻撃(朝日)
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