会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

半期報告書提出期限延長申請6件(サンテック、nmsホールディングス、奥村組、サンウェルズ、プロトコーポレーション、ウィルソン・ラーニング ワールドワイド)(2024年11月13日)

半期報告書(2024年4~9月)の提出期限延長申請を行った(あるいは検討中である)事例です(2024年11月13日発表分)。

1.サンテック(東証スタンダード)

(訂正)「第 78 期(2025 年3月期)半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ」の一部訂正について(PDFファイル)
第 78 期(2025 年3月期)半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

一時会計監査人から延長を求められたそうです。

「当社は、2024 年6月 25 日当社の会計監査人であったRSM清和監査法人(以下、「前監査法人」という。)より、2024 年3月期の有価証券報告書の財務諸表及び連結財務諸表について監査意見を表明しない旨の監査報告書及び 2024 年3月 31 日現在の内部統制報告書の内部統制監査について監査意見を表明しない旨の内部統制監査報告書を受領し、同年6月 30日付にて前監査法人が退任し、会計監査人が不在の状態でありましたが、同年9月9日付にて一時会計監査人として監査法人アリア(以下、「一時会計監査人」という。)が就任し、2025 年3月期の半期報告書提出に向けて準備を進めております。

一時会計監査人の監査開始に伴い、前期意見不表明の原因となった特定の特殊工事案件に関し、過去3年間に亘る過年度修正が必要であるとの指摘を第三者調査委員会より受けているので、現在当社は過年度修正作業中でありますが、2024 年 11 月 13 日に一時会計監査人より、「半期報告書の提出期限の延長申請に関する見解」の書面を受領しました。

上記書面によると、一時会計監査人は過年度決算(第 75 期、第 76 期、第 77 期)の訂正前の監査人ではないため、前監査法人の訂正前の監査結果を全て引き継ぎ、そのうえで前監査法人の指摘や第三者調査委員会の調査結果を踏まえた追加の監査手続も実施する必要があるとされており、これら複数期の訂正監査の実施を踏まえると、金融商品取引法第 24 条の5第1項の提出期限までに当社は上記の半期報告書を提出できないとする見解を一時会計監査人からいただきましたので、企業内容等の開示に関する内閣府令第 18 条の2第1項に基づき、提出期限について、上記のとおり延長承認の申請をいたします。」

2.nmsホールディングス(東証スタンダード)

2025 年3月期半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出に関するお知らせ(PDFファイル)

これも、会計監査人によるレビュー手続に時間が必要という理由です。会社の調査も終わっていません。

「2024 年 10 月 22 日付「特別調査委員会の設置に関するお知らせ」開示のとおり、当社は、一部役員の経費使用に関し、外部の専門家を交えた特別調査委員会を設置し、不適切な経費使用の有無に関する事実関係の調査、類似する事案の有無及びその内容等に関する調査を行っており、現在もその調査が継続しております。

このため、会計監査人による当該調査結果を踏まえた監査・レビュー手続完了までに、相応の時間を要す見込みとなり、金融商品取引法第 24 条の 5 第 1 項の提出期限である 2024 年 11 月 14日までに 2025 年3月期半期報告書(自 2024 年4月1日至 2024 年9月 30 日)を提出できないこととなりました。...」

3.奥村組(東証プライム)

第 88 期(2025 年3月期)半期報告書の提出期限延長に係る承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

「当社は、2024 年 7 月に、「受注した工事において生じた費用を、当該工事で計上せず別の工事に計上(原価付替え)した」旨の内部通報を受け、コンプライアンス室による社内調査を開始しました。その調査の結果、当該通報にかかる原価付替えの事実が発覚し、当事実の詳細を把握しその他に類似事案がないか等を調査する過程において、複数の別の原価付替えが疑われる事案が発覚しました。

当社は、この事態を重く受け止め、根本原因を究明するとともに、再発防止を図るため、社内調査委員会〔委員長:小寺哲夫(弁護士、社外取締役監査等委員)、委員:西原健二(公認会計士、社外取締役監査等委員)、三島圭史(公認会計士・税理士、三島会計事務所※)、松島弘幸(代表取締役常務執行役員 管理本部長)、※三島会計事務所と当社の間に取引関係はありません〕を設置し、同委員会に調査を依頼しました。

現在、同委員会による調査が継続中であり、その調査には、相応の日数を要することが見込まれ、また、同委員会の調査結果を踏まえて、会計監査人による追加的な監査手続き等が必要になることも見込まれます。 ...」

4.サンウェルズ(東証プライム)

2025年3月期第2四半期(中間期)決算発表の延期及び半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ(PDFファイル)

「当社は、2024年9月2日に共同通信社から配信された記事において、当社が不正に診療報酬請求をしていた(以下「本事案」といいます。)との指摘がなされたことを受け、本事案の事実関係及び問題の有無を明確にするため、2024年9月20日の取締役会において、当社より独立した社外の専門家を委員とする特別調査委員会を設置することを決議し、業務実態の調査を実施しております。

一方で、特別調査委員会からは、調査の範囲が関係者へのヒアリングや関係書類の精査・分析、デジタルフォレンジック調査などの多岐にわたるものとなっており、また、全国にある当社のPDハウス40施設を対象として徹底した調査を実施していることから、調査の完了までに相応の日数を要するため、半期報告書の提出期限である11月14日までに調査を完了することが困難であるとの報告を受けております。

また、有限責任監査法人トーマツからは、2025年3月期第2四半期(中間期)決算発表に係る期中レビュー手続においては、特別調査委員会の調査に対する評価手続き等を実施する必要があり、特別調査委員会の調査報告書の提出から期中レビューの結論の表明までには一定の期間を要するため、同手続を提出期限までに完了させることが困難であるとの説明を受けております。

このため、2025年3月期第2四半期(中間期)決算発表を延期させていただくとともに、半期報告書の提出期限延長申請を検討することといたしましたので、お知らせいたします。」

5.プロトコーポレーション(東証プライム)

2025 年3月期半期報告書の提出期限の延長申請の検討に関するお知らせ(PDFファイル)

「2024 年 10 月 18 日付「特別調査委員会設置及び 2025 年3月期第2四半期決算発表延期に関するお知らせ」に記載のとおり、当社において、当社社員が 2016 年7月より 2024 年3月にかけて架空取引(役務提供の裏付けが確認できないままに取引先等と送受金がなされている取引)を行い、当社において一定の規模で取引先に対する架空の売上及び売上原価が計上されている疑い(以下「本件事案」といいます。)があることが判明いたしました。これを受け、当社は、本件事案の全容解明、同種又は類似事案の存否、当社連結財務諸表等への影響等について、更に徹底して網羅的な調査を行うため、当社と利害関係を有さない弁護士及び公認会計士からなる特別調査委員会を設置し、調査を進めております。

特別調査委員会による調査においては、関係者へのヒアリング、関連資料の確認、デジタル・フォレンジック調査、社内アンケート調査、同種又は類似事案の存否の分析等の調査が既に実施され又は実施中ですが、今後、原因分析及び再発防止策の検討等が予定されており、特別調査委員会の調査にはなお相応の時間を要する見込みです。また、本件事案は、当社の 2025 年3月期中間期及び過年度における当社の会計処理に影響する見込みであり、2025 年3月期半期報告書の提出のためには、特別調査委員会の調査を経た後に、2025 年3月期半期報告書並びに特別調査委員会の調査結果を踏まえ訂正が必要と判断された期間に係る過年度の有価証券報告書、四半期報告書の訂正報告書を作成し、これらについて監査法人による監査及びレビュー手続が必要となる見込みです。したがって、当社は、法定の提出期限である 2024年 11 月 14 日までにこれらの手続を完了し、監査法人から監査報告書及びレビュー報告書を受け取ることが困難であると判断し、2025 年3月期半期報告書の提出期限の延長に係る承認申請を検討することといたしました。」

6.ウィルソン・ラーニング ワールドワイド(東証スタンダード)

2025 年3月期第2四半期(中間期)決算発表の延期及び2025 年3月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

これだけは、ほかと違って、不適切会計の調査が理由ではありません。

「当社は、当社英国連結子会社の経理担当者の重篤な罹患によって連結決算用のデータの完成が遅延し、2025 年3月期半期報告書の提出期限である 2024 年 11 月 14 日までに連結決算を取り纏めることが困難となったことにより、2025 年 3 月期第2四半期(中間期)決算の当初予定日での発表及び金融商品取引法第 24 条の 5 第 1 項の提出期限までに 2025 年3月期半期報告書の提出ができないこととなりました。」

「・当該経理担当者は9月下旬から 10 月下旬にかけて入退院を繰り返し、その間経理業務を遂行するも、この間本人との連絡に支障をきたすことが多く、決算のバックアップ計画(インド子会社の経理担当への業務移管)が遅延していた。
英国子会社は小規模な子会社であるため体制面でも脆弱であり(2024 年8月時点で社員8名、うち経理担当1名)、これを改善するため当社グループ内での事業の移管による体制改善の途中であった(2024 年8月 27 日付開示資料「連結子会社の事業休止に関するお知らせ」にて公表済)。
当該経理担当者は米国子会社の経理担当者およびインド子会社の経理担当者と本年8月より引継の打合せを開始していたが、顧客の契約の移管と売上・支払業務の移管が優先されたため、会計業務に関しては進行が遅れていた。
・10 月 14 日が各子会社による連結決算パッケージの提出予定日であったが、上記の状況で英国子会社から当社への提出が遅延している。」

担当者の病名まで開示していますが、それは不要なのでは。

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