最近の監査人交代事例です(2024年11月13日発表分)。
1.アドバンスクリエイト(東証プライム)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
桜橋監査法人→あおい監査法人、の交代です。
桜橋監査法人より、監査契約継続辞退の申し出があったそうです。
「同監査法人より、監査品質を確保するための人員確保が困難であるとして、任期満了をもって監査契約の継続を辞退したい旨の申し出があったことに伴い、複数の監査法人と面談を行い、当社の事業内容に精通し会計監査を適切かつ妥当に遂行可能な会計監査人を総合的に検討してまいりました。」
なお、この会社は、過年度決算の訂正を予定しており、2024年9月期決算発表を延期している状況とのことです。
「なお、2024 年 10 月 30 日付「2024 年 9 月期決算発表の延期及び過年度決算訂正に関するお知らせ」にてお知らせいたしましたとおり、当社は PV 計算の結果の一部について実態との乖離が見られるとの指摘を受け、過年度決算の訂正を行うことが適切であるとの判断に至りました。過年度決算の訂正には相応の時間を要するため、2024 年 9 月期決算発表を延期いたしました。現時点では現任の会計監査人である桜橋監査法人より、会社法に基づく監査報告書が提出されていないことから、最終的な会計監査人の引継ぎが終了していない状況であります。そのため、現時点での判断を前提に後任の会計監査人から就任の内諾を得ております。」
この問題に関連して、10月8日付のプレスリリースを当サイトでも取り上げています(→当サイトの関連記事)。「PV計算」というのは、将来受け取る保険代理店手数料の金額を見積り、その割引現在価値合計額を計算することを、いっているようです。
あおい監査法人を選任した理由は...
「監査役会があおい監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、同監査法人が、当社が会計監査人に求める専門性、独立性、職務遂行能力及び品質管理体制を備えていることを総合的に考慮し、当社の会計監査が適切かつ妥当に行われることを確保する体制を有しており、当社の会計監査人として適任であると判断したためであります。」
現監査人の就任年は、2011年です。
2.サイバー・バズ(東証グロース)(船井電機にからんで知られる会社です。)
会計監査人の異動に関するお知らせ(PDFファイル)
トーマツ→和泉監査法人、の交代です。
監査継続年数などを理由にしています。
「長年にわたって監査を継続していることから、会計監査人の交代により新たな視点での監査が期待できることに加え、当社の業務内容や事業規模に見合った監査対応及び監査報酬の相当性を総合的に勘案し、複数の監査法人の候補対象者の中から選定いたしました。」
和泉監査法人を選任した理由は...
「監査等委員会が和泉監査法人を会計監査人の候補者とした理由は、新たな視点での監査を期待できること、また、同法人の専門能力、独立性、職業倫理、品質管理体制、監査費用等について総合的に勘案した結果、当社の会計監査が適正かつ妥当に行われることを確保する体制を備えており、当社の会計監査人として適任であると判断したものであります。」
現監査人の就任年は、2019 年です。全然長くありません。
同じ日に決算発表を行っています。
2024年9月期 決算短信〔日本基準〕(連結)(PDFファイル)
「(追加情報)
(債権の取立不能または取立遅延のおそれについて)
当社が、2023年4月よりアフィリエイト広告の代理販売を実施しておりました取引先より、2023年12月に売掛金の入金が遅れる旨の通知がありました。その後、売掛金の一部入金があったものの、当該取引先及び連帯保証先からの売掛金残高の入金が無い状態が続いており、取立不能または取立遅延のおそれが生じております。当社は、当該取引先からの売掛金回収の金額と時期に不確実性が存在することから、当該取引先に対する当期末時点の債権金額2,202,612千円に対して、全額貸倒引当金繰入額を販売費及び一般管理費に計上しております。
なお上記債権については、法的手続きを含めた様々な手段を用いて回収努力を続けて参ります。」
(上記決算短信より)
この会社も、りそな銀行から貸しはがしにあったようです。
「(継続企業の前提に関する注記)
当社グループは、当連結会計年度において、取引先に対する売掛金の入金遅延に伴い、貸倒引当金繰入額2,202,612千円を計上いたしました。多額の営業損失を計上した結果、純資産が352,470千円となり、前連結会計年度末と比べ、1,906,000千円減少しております。
また、当社グループは、株式会社りそな銀行からの借入金に関して、借入に関する事実経緯等も踏まえ、返済条件等に関する協議を実施した結果、2024年5月29日に任意の期限前弁済を行っております。...」