金融庁は、平成31年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書の作成・提出に際しての留意すべき事項を、取りまとめ、公表しました(2019年3月19日付)。
「新たに適用となる開示制度に係る留意すべき事項」として、以下の2つを挙げています。
・平成31年1月に施行された開示府令一部改正
・「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表を踏まえた財務諸表等規則等の改正
また、平成30年度の有価証券報告書レビューの審査結果及びそれを踏まえた留意すべき事項が、別紙にまとめられています。
以下のような事項です(留意すべき事項のみ)。
1.改正開示府令(平成30年1月施行)に関連する開示
・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、その内容について記載する必要があること(企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式記載上の注意(10)が準用する第二号様式記載上の注意(30))
・経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等がある場合には、当該経営方針・経営戦略等又は当該指標等に照らして、経営者が経営成績等をどのように分析・検討しているかを記載するなど、具体的に、かつ、分かりやすく記載する必要があること(企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式記載上の注意(12)が準用する第二号様式記載
上の注意(32)a(e))
・資本の財源及び資金の流動性に係る情報(例えば、重要な資本的支出の予定及びその資金の調達源は何であるかなど)について記載する必要があり、当該記載においては、単にキャッシュ・フロー計算書の要約を文章化したものだけでは不十分であること(企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式記載上の注意(12)が準用する第二号様式記載上の注意(32)a(e))
・大株主の状況における発行済株式の総数に対する所有株式数の割合の算定においては、分母となる発行済株式の総数から自己株式を除く必要があること(企業内容等の開示に関する内閣府令第三号様式【大株主の状況】)
2.引当金、偶発債務等の会計上の見積り項目
・偶発債務(債務の保証(債務の保証と同様の効果を有するものを含む。)、係争事件に係る賠償義務その他現実に発生していない債務で、将来において事業の負担となる可能性のあるものをいう。)がある場合には、その内容及び金額を注記しなければならないこと(連結財務諸表規則第 39 条の 2、財務諸表等規則第 58 条)
・資産除去債務に関する注記においては、資産除去債務の金額の算定方法(支出発生までの見込期間及び適用した割引率その他の前提条件)を記載する必要があること(連結財務諸表規則第 15 条の 23、財務諸表等規則第 8 条の 28)
・将来キャッシュ・フローは、資産又は資産グループの現在の価値を維持するための合理的な設備投資に関連するキャッシュ・フローを考慮して見積る必要があること(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第 38 項 (2))
・使用価値の算定に用いる将来キャッシュ・フローが税引前の数値であることに対応して、割引率も税引前の数値を用いる必要があること(固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第 43 項)
・会計上の見積り項目の会計処理に用いる事業計画は、合理的な仮定に基づく必要があること(固定資産の減損に係る会計基準二4.(1)、固定資産の減損に係る会計基準の適用指針第 36 項、金融商品会計に関する実務指針第 92 項、285 項等)
3.繰延税金資産の回収可能性
・繰延税金資産の計上額を見積る場合に用いる将来の業績予測については、合理的な仮定に基づく必要があることに留意されたい(繰延税金資産の回収可能性に関する適用指針第 32 項)。
また、平成31年3月期以降の事業年度に係る有価証券報告書のレビューの実施についても公表されました。以下の内容で実施されます。
(1) 法令改正関係審査
・平成31年1月に施行された「企業内容等の開示に関する内閣府令の一部を改正する内閣府令」による改正、「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」等の公表を踏まえた財務諸表等規則等の改正
(2) 重点テーマ審査
・関連当事者に関する開示
・ストック・オプション等に関する会計処理及び開示
・従業員等に信託を通じて自社の株式を交付する取引に関する会計処理及び開示
((役員報酬に関係することが多い)ストックオプションや、(役員がらみの?)関連当事者を重点的にみるということは、やはり、日産ゴーン事件の影響もあるのでしょうか。)
(3) 情報等活用審査
・適時開示や報道、一般投資家等から提供された情報等を勘案して審査を実施
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