【エクシア720億円投資トラブル】訴訟乱発、代表退任 元副社長が語る「天才トレーダーかけるんの本当の実力」
ポンジスキームではないかと報じられたり、子会社が業務停止処分になったりしている「エクシア合同会社」を取り上げた記事(「合同会社」であるというのもポイントです)。
これまでの経緯がまとめられているほか、エクシアの創業メンバーで、元副社長という人物から話を聞いています。
「(エクシアから排除され)伊藤氏はエクシアを外部から見守る立場となったが、昨今のトラブルに対しては責任を感じる部分もあるという。
「私が菊地氏とエクシアを立ち上げなければ、このような事態にもならなかった。何より、菊地氏の手腕を見抜けなかったことに責任を感じています。
エクシア立ち上げ当初から、菊地氏は私や当時の同僚たちに運用方法や運用益を開示していません。運用の実態は代表社員である彼しか知らなかった。それは今も変わっていないと聞きます。
ただ、私が見ていた限り、菊地氏がトレードで彼が公言するほどの莫大な利益を出していたとは到底思えない。彼が振りかざすトレード理論は、“金融占星術やカジノトレード理論を組み合わせて高いリターンを出せる”とのことですが、それが事実なら、目の前で運用して見せてほしかった。
エクシアが始まってすぐ彼は“これくらいの金額が集まったら、利益が全く出せていなくてもこれくらいの期間は会社がもつ”と言っていました。これは鮮明に覚えています。それぐらい衝撃的な言葉でした。さらに彼は、なかなか社員権が売れないと、“これじゃ、おれの王国が作れない”とまで言っていた。今思えば、運用益ではなく、集めた出資金で配当を払う考えがあったのかもしれません」」
これが本当なら、最初からポンジスキームだったのでは。
弁護士のコメント。
「投資詐欺に詳しい加藤博太郎弁護士は「エクシアは詐欺とまでは言い切れないが、全体を見れば悪質な投資スキームです」と指摘する。
「投資用の資金を集めると謳って、投資業の資格を有していない合同会社の社員権を買わせるスキームそのものが、脱法的な資金調達行為。株式会社であれば、投資家は出資額に比例して発言権などを得ることができますが、個人会社に使われることが多い合同会社では、制度上、定款であらゆる権利を代表社員に限定させてしまえば、社員権を持っていても何もできない。さらに集めた資金を子会社に転貸することで運用実態を分からなくさせている以上、“お金がなくなっちゃったんですよ”と言われれば投資家は何もできない」(加藤弁護士)」
12月2日付で声明文を出しています。社員権の評価額は大幅に毀損しているのだそうです。
現在の経営状況及びその経緯について(エクシア合同会社)
「かねてよりご報告差し上げているとおり、SNS等インターネット上に当社に対する虚偽の事実を摘示した上、当社の社員に対して当社に対する退社払戻請求訴訟等を提訴することを扇動する弁護士らが存在していました。かかる扇動の結果、一部報道にあるとおり、当社の社員から当社に対しては多数の退社申請及びそれに伴う払戻請求訴訟や銀行口座等への仮差押命令申立(以下「訴訟等」)がなされました。その結果、当社は、本来であれば事業計画の遂行に費やすべきリソースを訴訟等への対応のために割かなければならなくなり、当社が敗訴した訴訟は一件も存在していないものの、当該訴訟等に起因して更なる風評被害が生じたことにより、六本木本社オフィスの契約更新の拒絶、投融資先候補から取引を敬遠される、当社有力トレーダー等の離職が相次ぐ、仮差押命令による凍結を避けるべくやむなく証券口座での運用を停止して証拠金等の運用資金を引き上げざるを得なくなる等の不測の事態が連鎖して生じており、当初想定していた事業計画が完全に頓挫し、その実行をすることが著しく困難な事態に陥っております。また、先日お知らせしたとおり、経営体制を刷新して、当社を再建する事業計画の策定に現在取り組んでおりますが、社員による退社払戻請求を扇動する弁護士らと内通する者が当社に潜入しており、重要機密会議の盗撮録音、内部情報の漏洩をしていることが発覚する等の異常事態が生じたため、新たな事業計画策定作業も非常に難航しております。
このような事態に陥ったことに伴い、当然ながら、当社の企業価値全体が大幅に毀損している状態であり、大変申し訳ありませんが、社員の皆様が保有されている当社社員権の持分の評価額についても大幅な毀損が生じることになります。今般の事態は、当社の社員数全体でみれば、ごく一部の社員の行為に起因するものではありますが、その影響は非常に大きく、当社の発展を信じておられた多く社員(出資者)に対しても多大なるご迷惑をお掛けすることとなったことを深くお詫び申し上げます。現時点で具体的な内容はお知らせできませんが、少なくとも今般の事態の要因となったSNS等での誹謗中傷行為や訴訟等に関与されなかった社員の方々に対しては、新たな経営体制の下においては何等かの方法でお詫びができるように尽力していく所存であります。」
11月18日付の「現代ビジネスオンラインにおける報道記事について」というリリースにもおもしろいことが書いてあります。
「公表している年間平均払戻(利回り)実績は驚異的、高額配当を謳って投資を募りとする記載がありますが、当社は、出資の払戻しに関する指標を公表してきたことはありますが、利益に関する指標を公表してきたことはありません。
また、当社は、出資や持分の払戻しを実施してきたことはありますが、これまでに利益の配当を実施したことはありませんので、当然「高配当」もしたことはありません。さらに、払戻しは、当然のことながら、従前から契約上の制限があり、決して「随時解約」できるものではありません。」
利益の配当などしたことがないと自白しています。ただし、合同会社は、株式会社の自己株式取得の制限のようなものはないでしょうから、形式上は、配当ではなく、出資の払い戻しを、緩いルールの下でやっていたということなのかもしれません。