会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

ポイントは“おまけ”か“資産”か? 2兆円超える市場が活性化(ITmediaより)

ポイントは“おまけ”か“資産”か? 2兆円超える市場が活性化

企業によるポイント発行が増えて、それ自体大きな市場になっているという記事。税務処理についてふれている箇所もあります。

「年々拡大するポイント市場はすでに2兆円を超えたと見られる。もともとは商品やサービスの購買に対する「おまけ」で始まったものだが、ポイント自体の交換市場も発展し、「ポイ活」などの言葉も登場。楽天ではポイントを軸にした「楽天経済圏」を事業の重要テーマとして掲げている。」

どのくらいの規模なのか...

「各社は必ずしも発行額などを明らかにはしていないが、最大手と見られる楽天の楽天ポイントは年間発行額が3200億円相当に達している。ロイヤリティマーケティングが発行し、KDDIも参加したPontaポイントは2000億円超相当、ドコモのdポイントは年間利用額が1153億円相当とされており、発行額は1500〜2000億円規模と見られる。Tポイントは1000億円超の年間発行額ともいわれる。

大手4社だけでも、8000億円規模のポイントを発行している計算になる。そこに、航空会社のマイレージ(JALの契約負債計上額は2152億円)を加えれば、規模感が分かるというものだ。」

ポイントは、主としてサービスや商品を購入する際の“割引”ですが、金融商品を買えるスキームもあるそうです。

「昨今、このポイントを使った投資が増加している。大きく2つの方式があり、株式や投資信託などに連動してポイントが増減するものと、ポイントを使って株式や投資信託を直接購入できるものだ。

 クレディセゾンは2016年12月から「ポイント運用サービス」を提供している。これは、同社が提供する「永久不滅ポイント」を使い、選択した投資信託の価格と連動してポイント数が増減するサービスだ。サービス利用者は約53万人、運用金額は約15億円相当に成長している(20年9月末時点)。」

「ポイントを使って株式や投資信託が購入できる仕組みも各社が提供を始めた。STOCK POINTは、ポイントで運用している銘柄が1株分以上になれば、そのポイントを現物の株式と交換するサービスを提供している。これで実際に株式を購入することと同じことが、ポイント交換で実現することになる。

 日興証券は似た仕組みで、dポイントを使って株式を購入し、株式へ振替が可能だ。SBIネオモバイル証券では端株と呼ばれる1株単位で、Tポイントを使って株式を購入できるサービスを提供。1年9カ月間で、9億ポイントが投資に使われたという...。」

税務上の扱いは...

「盛り上がるポイント市場に対し、経済産業省は推進の立場を取っているようだ。しかし、市場規模が拡大する一方で、不透明な点も残っている。ポイント連動サービスの利益に対する税金の扱いもその1つだ。各サービス提供者は明確な回答を控えるが、「税金はかからない」という考え方と、「一時所得となり額によっては確定申告が必要」という考え方の2つがあるようだ。

国税庁がポイントに関する税制として明確な指針を出しているのは、次の点だ。ポイントを使って商品を購入したり割引した場合、「通常の商取引における値引きと同様の行為」とみなされ、確定申告の必要はないとしている。ただしポイントを使用して株式などを購入した場合は、購入分のポイントは一時所得に当たる。「1万ポイントで1万円分の株を買ったとき、1万円分の一時所得が発生する」(土屋氏)」

No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い(国税庁)(上記記事でスクリーンショットが掲載されています。)

「証券会社等においてポイントを使用して株式等を購入した場合、一般的には、その株式等の取得価額(取得費等)はポイント使用前の支払金額(ポイント使用相当額を含めた支払金額)を基に計算するとともに、ポイント使用相当額は一時所得の総収入金額に算入します。」

個人事業主の扱いは...

共通ポイント制度を利用する事業者(加盟店A)及びポイント会員の一般的な処理例(国税庁)(PDFファイル)

(これによると、ポイントを使ったときに、雑収入にすることになっています。消費税上は、ポイントを適用する前の金額で課税仕入になります。)

ポイントは資産なのか、資産だとすれば、どのような金額でいつ認識するのかなど、会計上の論点もいくつかありそうです。使ったときに雑収入にするというのは、使ったときに取得と費消を認識するということになります。


(昨年12月に出たばかりの本です。ポイントを保有・利用する側ではなく、ポイントを発行する側の処理を扱っているのでしょう。)
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