会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

モラトリアム法 負の遺産 「破綻予備軍」2割増(日経より)

モラトリアム法 負の遺産 「破綻予備軍」2割増(記事冒頭のみ)

中小企業金融円滑化法の負の遺産が表に出てきているという記事。ひとつ下の記事と同じく、地銀を取り上げた日経連載記事です。

広島銀行の融資先が粉飾決算をやっていたそうです。

「当時、金融担当相として法制化を主導した亀井静香氏のお膝元、広島県。1915年の創業で県内を中心に15店を展開する老舗の書店チェーン「広文館」は18年、実質的に経営破綻した。17年に粉飾決算が発覚。18年11月には会社の新旧分離に追い込まれ、銀行に債務免除を求めた。出版取次大手のトーハンの傘下で再建をめざす。」

「メインバンクは中国地方の有力地銀、広島銀行。実は書籍の不良在庫を時価で評価すると広文館が実質的な債務超過になると認識していた。本来は不良債権だが、広島銀行はモラトリアム法に基づいて正常債権に区分。新規の融資などで経営支援を続けてきた。広文館の借入残高は30億円に上るとみられる。

モラトリアム法の肝は銀行検査の指針、金融検査マニュアルの例外規定にある。「実現可能性の高い抜本的な経営再建計画」。不振企業がこの再建計画をつくれば、銀行は正常債権として融資を続けられる。

広文館はそんな例外措置で救済された一社だった。広島銀行の部谷俊雄頭取は「広文館は損益計算書に問題があった」とし、稼ぐ力が回復しなかったと認めた。同じように救済した、マンション分譲の日本アイコム(広島市)も昨年8月に経営破綻した。」

銀行が独自の判断で債務超過企業に融資を続けるのは自由ですが、粉飾決算は粉飾決算であり、犯罪行為でしょう。非上場企業の粉飾決算は実質野放しで、「てるみくらぶ」や「はれのひ」のような社会問題化した場合にのみ、思い出したように摘発するというやりかたは、そろそろやめる時期なのでは。

全体の状況は...

「金融庁が極秘に試算した数字がある。モラトリアム法での救済後に実質的な債務超過を解消できず、業績も回復しない企業などを法施行前の基準で査定し直すと経営破綻する可能性が高い「破綻懸念先」になる。そこへの債権額は7000億〜8000億円——。地銀106行の破綻懸念先への債権は現在3兆円で2割以上も膨らむ。」

「帝国データバンクによれば、モラトリアム法で救済された後に倒産した企業は17年に480社、負債総額は約3600億円に上った。倒産数は16年比で16%増、負債総額は40%も増えた。上場する地銀80社・グループは18年4〜9月期の不良債権処理損が1728億円になった。モラトリアム法倒産の影響で、8年ぶりの高水準に増えた。」
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