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「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の改訂について(金融庁)

「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の改訂について

金融庁は、「監査法人の組織的な運営に関する原則」(監査法人のガバナンス・コード)の改訂を、2023年3月24日に公表しました。

新旧対照表はなく、改訂点を説明した資料もないという不親切な公表のしかたですが、変更点を知りたい方は、改訂案公表の際の資料(「見え消し版」というのがあります)をご覧ください。

また、改訂は「監査法人のガバナンス・コードに関する有識者検討会」で検討されたものですが、改訂案公表後、一度も会議を開催していない(会議を開催しないで原則を確定させた)模様です。(手抜きでは?)

「(意見募集で寄せられた)コメントの概要及びコメントに対する考え方」も掲載されています。これといった反対意見や大きく修正すべきという意見はなかったようです。

「監査法人のガバナンス・コード」については、中身はともかく、上場会社監査事務所全部に適用されるようになるという点が重要なのでしょう。

「監査法人のガバナンス・コードについては、令和3年 11 月に「会計監査の在り方に関する懇談会(令和3事務年度)」で取りまとめた論点整理や、令和4年1月に「金融審議会公認会計士制度部会」で取りまとめた報告書において、個別原則の適用に関するコンプライ・オア・エクスプレインの枠組みを維持しつつ、上場企業等を監査する全ての監査事務所にコードの受入れを求めることとされた。その上で、当該コードの内容が、上場会社監査を行う中小監査法人等における受入れにも馴染み、監査法人の規模・特性等に応じた実効性のある内容となるよう見直すとともに、その他改訂すべき点がないか幅広く検討することが望ましいとされた。

このため、金融庁において、令和4年 10 月から計3回にわたり、本検討会を開催し、コード改訂に向けた議論を重ねてきた。こうした議論を踏まえ、今般、本検討会は改訂版の監査法人のガバナンス・コード(以下、「本原則」という。)を取りまとめた。」(1ページ)

また、上場会社を監査している個人事務所は、監査法人への移行を進めるようです。(「現に...行っている」という限定がついているのは、今後は、個人事務所による新たな上場会社監査は認めないということ?)

現に上場企業等の監査を行っている個人経営の監査事務所については、日本公認会計士協会において、中小監査事務所の育成支援の一環として、監査法人への移行に向けた取組みを計画的に進めていくことが期待される。」(2ページ)

当サイトの関連記事(改訂案について)

そもそも、「監査法人」のガバナンス・コードという名称がおかしい。共同事務所や個人経営の監査事務所にも適用されることになっており、監査法人だけが対象ではありません。監査の専門用語としては「監査事務所」とすべきでしょう。今回のコードの英文版では「Audit Firms」となっており、これは「監査法人」ではなく「監査事務所」の訳語でしょう。金融庁が公表している監査に関する品質管理基準でも、「監査事務所」という用語です。

当サイトの関連記事(令和4年公認会計士法等改正に係る政令・内閣府令、公布)(登録上場会社等監査人が整備しなければならない業務管理体制の関連で、監査法人のガバナンス・コードが告示されています。)

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