東京証券取引所は、「上場会社における業績予想開示の在り方に関する研究会報告書」を2011年7月29日に公表しました。
これは、東証が、「業績予想開示の今日的意義と問題点の整理についての客観的な立場での研究成果及び望ましい方向性の示唆についての取りまとめ」を日本証券経済研究所に対して委託した結果、作成された報告書です。
報告書の概要は以下のとおりです(東証資料より抜粋)。
○ 業績予想開示は、業績の見通しに関して最も詳細かつ正確な情報を有する上場会社自身が、投資者に対して、その見通しを示すものである。上場会社と投資者がコミュニケーションをとり、相互理解を図るうえで、有用性が高い。
○ 業績予想開示は、上場会社と情報利用者との重要な情報格差の解消につながるものであり、証券市場の健全な運営上望ましい。
○ 海外でも、多くの上場会社が財務指標を含む将来予測情報を開示している。
○ 日本との主な差異は、開示項目が規格化されている点である(海外では開示内容は一定の傾向はあるが各社各様)。
○ 原則的な取扱いにこだわり過ぎると、合理的とは言えない業績予想の開示が行われたり、上場会社に必要以上の負担をかけたりするおそれが高いため、定型的開示の重要性を確認しつつ、上場会社各社の実情に応じて、多様な方法による柔軟な開示を積極的に行い得るようにすることが望まれる。
報告書の冒頭にも書かれていますが、東証がこのような検討を行っているのは、政府の「新成長戦略」において、「取引所における業績予想開示の在り方の検討」が盛り込まれたことや、日本経済団体連合会の「財務報告に関わる我が国開示制度の見直しについて」において、「業績予想開示の今日的意義とそのための実務負荷を総合的に勘案し、 廃止あるいは完全な自主開示化及び決算短信の様式の見直しを検討すべきである」との提言がなされていることがきっかけとなっています。
報告書の結論からすると、業績予想開示自体は残すが、柔軟な開示を認めるという方向なのでしょう。
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