会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

半期報告書提出期限延長申請4件(カシオ計算機、ヨロズ、SCREEN ホールディングス、MIXI)(2024年11月14日)

半期報告書(2024年4~9月)の提出期限延長申請を行った事例です(2024年11月14日発表分)。これらのうち2件はサイバー攻撃による遅延です。また、4社とも東証プライム上場です。

1.カシオ計算機(東証プライム)

2025 年3月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

「2024 年 10 月 11 日に公表いたしました「当社におけるランサムウェア被害に伴うサービスの一部停止と情報漏えいに関するお知らせ」のとおり、2024 年 10 月5日に当社のサーバーが不正アクセスを受けたことにより、会計関連システムへのアクセスを遮断する措置を講じたため、当社及び一部の子会社において、決算業務を実施することができなくなりました。現在、アクセスは復旧し決算業務を再開しておりますが、決算及び会計監査人の期中レビュー手続き等に遅延が生じており、延長前の提出期限である 2024 年 11 月14 日までに半期報告書を提出することができない状況にあります。このため、延長が承認された場合の提出期限を 2024 年 12 月 13 日として、提出期限延長に関する申請を行うことを決定いたしました。 」

2.ヨロズ(東証プライム)

第 80 期 2025 年3月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

「2024 年 10 月 18 日付「ランサムウェア被害の発生について」で公表いたしましたとおり、ランサムウェアによって、当社グループの複数サーバーに保存しているファイルが暗号化され、アクセスできない状況となっていることを確認しました。当社グループといたしましては、直ちに本社内に対策本部を立ち上げ、外部調査会社の協力を得つつ、ランサムウェアに感染したサーバーをインターネット及び社内ネットワークから隔離するとともに、影響範囲や被害状況などの調査に取り組んでおります。

当社が依頼した外部調査会社の調査によると、基幹システムそれを補完する周辺システムまで広範囲に侵害されており、復旧、安全性の構築までには相応の時間と労力を要するとの報告を受けております。

以上の状況下で、基幹システムが使用できないこと等により、監査法人の期中レビュー手続に対応ができないことが判明いたしました。安全な環境でのシステム再構築、再インストール等の復旧作業を取組んでおりますが、現時点で、2025年3月期第2四半期(中間期)決算関連手続きが完了しておりません。」

カシオ計算機よりも重症のようです。

3.SCREEN ホールディングス(東証プライム)

第 84 期(2025 年 3 月期)半期報告書の提出期限延⻑に係る承認申請書提出および特別調査委員会設置のお知らせ(PDFファイル)

収益認識に疑義があり、当初は、過年度訂正までは不要という判断でしたが(その判断に基づき決算発表も実施済み)、会計監査人(あずさ)の期中監査手続により、もっと調べろということになったようです。

「会計監査人による 2025 年 3 月期の監査における期中手続きの過程で、会計監査人からの質問に対応するため、当社にて調査したところ、2024 年 3 月期の売上計上に関して、収益認識に係る履行義務の充足時点(売上の計上時期)に疑義のある事象が発見されました。

2025 年 3 月期中間決算と並行して、当該発見に対する確認調査を行ってまいりましたが、金額的な影響や、担当者の認識不足に起因する誤謬という発生要因を鑑み、また誤謬であった場合の金額的な影響を会計監査人に確認のうえ、過年度の有価証券報告書を修正するまでには及ばないと判断し、2024 年 10 月31 日に 2025 年 3 月期の中間決算を東京証券取引所の適時開示情報閲覧サービス(TDnet)経由で発表いたしました。しかしその後、会計監査人による期中手続きの過程で、不適切な会計処理の可能性、すなわち、意図的に収益認識に係る履行義務の充足時点(売上の計上時期)を操作した可能性が示唆されたことにより、当半期報告書や過年度の有価証券報告書への影響の拡大の有無を確認する必要があると判断し、社内調査を継続することといたしました。追加的な調査や監査手続きに要する日程につき、当社の会計監査人であるあずさ監査法人と協議した結果、半期報告書の提出期限には間に合わないという判断に至り、提出期限の延⻑を申請するものであります。

なお、現在調査を進めている段階ではございますが、調査で収集している情報の限りにおいては、担当者の認識不足に起因する誤謬であるという認識です。しかし、収集している情報については客観的な裏付けが必要であり、その裏付けをとるための外部専門家による調査期間については、外部専門家より約 1 か月という期間を提示されております。さらに、調査結果を受けての追加的な対応や、会計監査人による監査手続きが必要となるため、延⻑日数が⻑期におよぶことは避けられず、上記のような期限(注:2025年1月14日)で延⻑を申請する次第です。」

会計監査人の見解(操作した可能性あり)と会社の見解(認識不足による誤謬)に相違があるようです。

特別調査委員会を設置して調べるそうです。

会計監査人により「不適切な会計処理の可能性」を示唆された段階で、より客観性と独立性および専門性が担保された調査が必要と判断し、2024 年 11 月 14 日に特別調査委員会を設置いたしました。」

委員会は、公認会計士である社外監査役が委員長で、デロイトトーマツが加わっています。

SCREEN、不適切会計疑いで調査委設置 報告書は提出延期(日経)

4.MIXI(東証プライム)

2025 年 3 月期半期報告書の提出期限延長に関する承認申請書提出のお知らせ(PDFファイル)

連結子会社であるチャリ・ロト社における不正疑義(「前代表取締役および従業員1名...が取引先との間で不適切な資金のやり取りを行っていた疑義」)(→当サイトの関連記事)について調査中ですが...

「当社といたしましては、2024 年 11 月 6 日付公表「2025 年 3 月期第 2 四半期決算発表の延期および当該半期報告書の提出期限延長申請の検討に関するお知らせ」のとおり、調査に時間を要し、決算が確定できない可能性もあることから、2024 年 11 月 8 日に予定していた 2025 年 3 月期第 2 四半期決算発表を延期させていただくとともに、当該半期報告書の提出期限延長について承認申請を検討しておりましたが、このような状況を踏まえ、当社の会計監査人と協議したところ、現時点において、本件疑義の解明ができていない状況にあり、今後も相当の時間を要し、具体的な会計処理および 2025 年 3 月期第 2 四半期に係る中間連結財務諸表に与える金額的影響等を特定できない状況にあることから、期中レビュー手続を完了させることができず、当社は金融商品取引法第 24 条の 5 第 1 項に定める提出期限までに会計監査人から期中レビュー報告書を受領できない見込みとなりました。期中レビュー手続は、2024 年 11 月 11 日より開始し、2025 年 1 月 14 日に終了予定です。」

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事