低金利時代のツケ、粉飾を見抜けない審査の劣化(記事の一部のみ)
週刊東洋経済で、「銀行 大波乱」という特集をやっていますが、その記事の一つ。銀行の審査能力が劣化して、粉飾を見抜けなくなっているのだそうです。
代表例として、環境経営総合研究所(→当サイトの関連記事)をまず取り上げています。
「「税務申告書の決算書とは異なる内容の決算書をお取引金融機関の皆様にご提示しておりました」
8月8日、古紙パウダーを原料とするプラスチック代替品を手がける環境経営総合研究所(ERI、上写真)から、全国の金融機関にこうしたファクスが送られてきた。約20年もの間、秘密裏に行ってきた「粉飾決算」を告白した瞬間だった。
同社は2005年ごろからある投資家とトラブルになり、金銭を要求され始める。社員が身の危険を感じることもあったため、やむをえず投資家の要求に応じたが、金の無心は一度では終わらなかった。警察に掛け合ったものの解決には至らず、会社から流出した資金は50億〜60億円に達した。
その穴埋めの資金を銀行から引き出そうと、ERIは決算の粉飾に手を染める。実体のない売掛金や開発費を計上したほか、預金残高も操作。決算書もメイン行、準メイン行、その他の金融機関向けの3種類を作成していた。」
長期間粉飾を見抜けなかったのは、損益計算書が増収増益で、大株主に日本政策投資銀行やSBIホールディングスがおり、安心してしまったからのようです。
そのほか、(昨年の倒産ですが)堀正工業とテックコーポレーション(3月に倒産)を取り上げています。テックコーポレーション(→当サイトの関連記事)は、融通手形や循環取引のうわさがあり、信用調査業界では「粉飾銘柄」だったのに、融資を引き揚げた銀行は限定的だったそうです。
同じページ(紙版)に金融庁総合政策局長へのインタビューが載っていますが、「粉飾倒産のほとんどは、銀行がもう少し慎重になっていれば回避できたはずだ。大手銀行がメインバンクだからといって安心せず、代表者に会ったり、現場に出向いて在庫の有無を確認したりしていれば、兆候を察知できただろう。こうした基本動作が欠けていたのではないか」とお説教しています。
当サイトの関連記事(帝国データバンクの粉飾倒産に関するレポートについて)(東洋経済記事でも、この帝国データバンクのレポートの数字が引用されています。)