会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

投資用シェアハウス 被害の真相を探る(全国賃貸住宅新聞より)

投資用シェアハウス 被害の真相を探る
スマートデイズ
(全文読むためには要登録)

シェアハウスの販売・管理を行うスマートデイズのサブリース家賃不払い問題を取り上げた記事。

「タレントのベッキーさんをイメージキャラクターにして、テレビCMを大々的に打ってきたスマートデイズは、設立わずか5年で約800人に1万1259戸以上を販売してきた。だが、2017年10月末、オーナーへ一方的に支払い変更通知書を送り、金融機関への返済額しかサブリース家賃を支払わなくなった。さらに、今年に入ってから17日と20日の両日、説明会を開催し「経営が窮地に陥り、返済額さえ支払えない」と発表した。」

そもそも無理がある特殊なビジネスモデルだったようです。

「スマートデイズは、投資家に土地の情報を紹介し、投資家が購入した土地の上に、1室7㎡ほどのシェアハウスを企画して建築、販売。完成後は、同社が借り上げ、毎月契約のサブリース家賃を支払うが、一般的なサブリース会社のビジネスモデルと大きく異なる点がある。家賃以外の紹介料収入によりオーナーに一定の賃料を保証すると主張していた点だ。同社のメーンターゲットは地方から職探しに上京してきた女性。スマートデイズが企業に入居者を人材紹介することであっせん料を獲得し、家主へのサブリース家賃も保証するという。

人材派遣会社への紹介手数料は年収の25%だといわれ、年収300万円であれば、75万円が同社に入る。そのため、賃料6万円の入居者でも紹介手数料分で家賃を無料にしても黒字になるというのが同社の提案するビジネスモデルだった。

だが結局、家賃外の収入頼みのビジネスモデルは、自社の首を絞めることになった。17年1月の入居率は一時34%まで下がり、入居者からの家賃収入が見込めないまま、満室時以上のサブリース家賃をオーナーに支払い、さらに、次々と新たに物件の販売を続けた。まさに自転車操業だった。」

シェアハウス販売で儲けるだけでなく、(たぶんお金に余裕がない)地方出身者を7㎡の部屋に押し込め、人材斡旋料を取る(要するに賃金のピンハネでしょう)ことによって、稼ごうというあまり感心できないスキームです。破綻して、むしろよかったのでは。

銀行の責任もありそうです。

「スマートデイズで物件を購入したオーナーの大半は、年収600万円から1000万円以上の上場会社の会社員や経営者とみられ、シェアハウス1棟を土地代・建築費あわせて約1億円で購入。大半がスルガ銀行から3.5~4.5%の金利水準で融資を受けている。

オーナーに共通するのは、16年8月に発行した大地則幸・前社長の著書『「家賃0円で・空室有」でも儲かる不動産投資』をきっかけにスマートデイズでシェアハウスを購入している点だ。働く女性のサポートなど、社会貢献をうたい家賃収入がゼロでも仕事の紹介料が入るから、表面利回りで8%のサブリース家賃を払い続けられる。そんな言葉が随所にちりばめられている。」

脱税疑惑もあるようです。

シェアハウス投資 東京国税局が一斉査察(テレビ東京)

「「30年間定額家賃保証」などをうたい文句に、およそ800人から、一棟あたり数億円のカネを引き出していたとみられる「スマートデイズ」とその関係先などが東京国税局査察部の一斉査察を受けていたことがテレビ東京の取材で分かりました。東京国税局ではオーナーの資産を水増しするなどして不正に融資を実行させていた疑いもあるとみて金の流れなど全容解明を進める方針です。」

銀行は、この会社の実態を把握していたはずなのに、なぜ、この会社からのサブリース家賃が返済原資となる融資を続けていたのでしょう。

家賃ゼロでもうかると物件購入を勧誘…自転車操業(日刊スポーツ)

「昨年10月に地方銀行のスルガ銀行が物件を購入する人への「アパートローン」を打ち切ったことで同社は販売予定だった物件の売却が頓挫し、一気に資金繰りが悪化した。」

かぼちゃの馬車社長が語る「自転車操業」 投資トラブル(朝日)(記事前半のみ)

「かぼちゃの馬車」運営のスマートデイズ、物件オーナーへの支払いが困難に(東京商工リサーチ)

「スマートデイズは、2012年8月に設立。首都圏を中心に女性専用シェアハウス「かぼちゃの馬車」を運営している。物件オーナーを見つけ建築から管理運営まで請け負う「サブリース」で業績を伸ばし、2013年7月期の売上高4億4,502万円が、2017年3月期(2016年に決算期変更)は316億9,664万円へ急拡大していた。」

スルガ銀行は地銀最強だそうです。

地銀最強!「スルガ銀行」圧倒的収益力の秘密(2017年11月)(現代ビジネス)

「最近、銀行から融資を受け、アパートなどを一棟丸ごと買って賃貸に回すという、いわゆる「大家さんビジネス」がブームとなっている。

こうした一棟モノの不動産投資を行っている個人投資家の中で、スルガ銀行のアパートローンを知らない人はほとんどいないはずだ。そのくらい同行のアパートローンは有名な存在である。

スルガのアパートローンは、金利が他行と比べてかなり高い。ここも同行が高収益である理由のひとつなのだが、不動産投資家はなぜ高めの金利でも同行のローンを利用するのだろうか。その理由は、同行の柔軟な融資姿勢にある。」
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事