メガネスーパー、前社長らに損害賠償請求へ 調査委が法的責任を認定
ビジョナリーホールディングスが、前社長らに対して、損害賠償請求などの法的措置を取るという記事。
「VH社が5月末に公表した第三者委員会の調査報告書によると、3月に辞任した前社長の星崎尚彦氏が一部の幹部や業務委託先の代表らと自称「星組」を結成。関連する会社がメガネスーパーの閉鎖店舗を引き継いで眼鏡販売を始めたり、コールセンターなどの業務受託で不審な取引をしたりしていた。
VH社は6月、取締役らの責任を調べる責任調査委員会(委員長・伊藤広樹弁護士)を設置。今月26日に公表した調査報告書では、星崎氏を含む取締役と執行役員計8人(退職者を含む)が、管理者として注意を払うべき善管注意義務に違反した疑いがあるなどと認定した。VH社は調査結果を踏まえ、近く損害賠償を請求する方針だ。」
記事で引用されている前社長のコメントによると、「第三者委の報告書は事実と全く違うことや捏造(ねつぞう)が随所にある」のだそうです。別メディアのインタビューでは、エムスリーという大株主の陰謀だと主張していました。
ビジョナリー前社長らの法的責任を認定 調査委(日経)(記事冒頭のみ)
会社のプレスリリース。報告書もついています。
責任調査委員会からの調査報告書受領と当社の対応について(2023年7月26日)(PDFファイル)
「本調査報告書において善管注意義務違反が認められ、又はその可能性が指摘された取締役及び執行役員(過去に当社の取締役又は執行役員であった者を含みます。)に対して、損害賠償請求その他の法的措置を行うことに関して必要な事項を決定後、速やかにその結果を開示いたします。」
報告書は60ページほどのものですが、記号だらけで非常に読みづらいです。
責任追及の前提となっている事実関係は、責任調査委員会とは別の委員会が調べた結果によっているようです。その結論をまとめた部分。
「本件第三者委員会報告書では、大要、以下の指摘がなされた。
① コールセンター業務、コンタクト定期便発送業務等の委託について、利益相反取引規制(後記第 3・1⑶において定義される。以下同じ。)の違反があった可能性、並びに業務委託先である H1 社に対する本来支払う必要のないマージンの支払及び業務委託先である H2 社に対する不当に過大な業務委託費の支払があった可能性があること(以下「H2 社等関連問題」という。詳細は後記第 4 参照)
② H4 社との間で締結していた業務委託契約に基づき、同社に対して不当に過大な又は請求根拠のない業務委託費の支払があった可能性、及び同社から受けていた役務提供が偽装請負に該当する可能性があること(以下「H4 社関連問題」と
いう。詳細は後記第 5 参照)
③ 株式会社 VH リテールサービス(以下「VHR 社」という。)による運営店舗事業の H3 社への移転及び同社における当該店舗の運営について、利益相反取引規制及び競業取引規制(後記第 3・1⑶において定義される。)の違反があった可能性があること、VH 社グループの元従業員が H5 社の受託業務として VH 社グループ在籍時の業務を継続したことについて、H5 社に対して不当な業務委託費の支払があった可能性があること、VH 社グループ従業員を引き抜いて H3 社又は H5 社へ転籍させたこと、並びに H3 社に不当に有利な条件で同社と取引したこと(以下「H3 社・H5 社等関連問題」という。詳細は後記第 6 参照)
④ 経費申請について、上限額を超過した会議費が申請されたこと、参加人数等を偽って交際費が申請されたこと、及び私的利用した交通費が申請されたこと(以下「不適切経費申請問題」という。詳細は後記第 7 参照)
⑤ 星組関係会社について、VH 社の(連結)子会社に該当する会社が存在する可能性があること(以下「連結子会社関連問題」という。詳細は後記第 8 参照。また、H2 社等関連問題、H4 社関連問題、H3 社・H5 社等関連問題、不適切経費申請問題及び連結子会社関連問題を併せて、以下「本件問題」という。)」
追加調査の報告書も公表されています。
追加調査を実施する第三者委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ(2023年7月27日)(PDFファイル)
「内部調査及び本追加調査で判明した事実が看過されていた場合、11 店舗が本来減損の対象であったにも関わらず、減損対象から漏れてしまうことになり、2023 年 4 月期の減損損失が 67 百万円過小に計上されていた可能性がある。」(報告書13ページ)
2023 年4月期有価証券報告書の提出遅延並びに当社株式の監理銘柄(確認中)指定の見込みに関するお知らせ(2023年7月27日)(PDFファイル)
支配株主等に関する事項について(2023年7月31日)(PDFファイル)
「エムスリー株式会社(以下、「エムスリー」といいます。)は、当社の議決権の 33.37%を保有する筆頭株主であり、当社は同社の持分法適用関連会社であります。」
エムスリーの会計監査人は、ビジョナリーと同じあらた監査法人です。直近の有報(2023年3月期)の監査意見は、無限定適正でした。持分法適用会社であるビジョナリーの直近四半期報告書は、結論不表明でしたが、矛盾があるのでは。すごくもうかっている会社なので、重要性なしなのかもしれませんが...。(ビジョナリーの決算が固まらなくて、上場廃止になってもかまわない?)