IHIが、エネルギー・プラント事業の巨額損失問題に関する社内調査の結果と経営陣の処分を発表したという記事。
「公表した社内調査結果で、IHIは、損失発生の原因について、「(エネルギー・プラント部門の)組織管理が十分に機能していなかったことによるものだ」と位置づけた。その上で、不完全な内部統制の態勢が、「今年になって急に発生したものとは考えられない」と組織の問題性を指摘。「(問題となった)18年度に事業を管理していた旧経営陣の結果責任はまぬかれない」と、過去にさかのぼって処分する理由を説明した。」
業績予想の修正および過年度決算の訂正に関する調査結果ならびに当社の対応方針のご報告(PDFファイル)
「長期大規模工事の総発生原価見通しは,各事業部で規程している手続きでは,まず,発生原価の実績を集計し,その上で実行予算との差異分析により把握した今後発生する原価を加えて算出する中間原価(工事完了時の原価の推定)を使用することになっており,決算時に採用する総発生原価見通しは,期末月における最新の中間原価となります。
社内調査委員会は,平成19 年2 月次に作成されたプロジェクト月報等を基礎として算出される平成19 年3 月期決算に採用した中間原価の中に含まれるコストダウン施策と思われる原価削減を,平成19 年9 月時点で再評価し,その時点で実現性が低いと考えた場合を損失として認識したとすると,その額は最大で280 億円となると推測しました。」
原価の見積りから差し引かれていたコストダウン分が実現性の低いものだったということのようです。
工事進行基準特有の損益のブレもあったようです。
「前期まで利益が見込まれていた工事について,当期になって工事利益が減少すると見込まれる場合は,最新の工事利益をもとに累計利益が計上し直されるため,工事利益の減少幅が大きければ,期間損益としては損失を計上する場合もあります。さらに当期になって工事損失が見込まれることになった場合には,累計利益が取り消され,かつ将来発生すると見込まれる損失に備えた受注工事損失引当金を含み,工事損失が全額計上されます。
このように,工事進行基準経理を適用する工事の損益見通しが悪化した場合,悪化が見込まれた期の期間損益は非常に大きく悪化する場合があります。」
これは一般論ですが、実際に当期は、黒字見通しの工事が急に赤字見込みとなったため、今まで計上していた黒字を取り消しただけでなく、最終的な赤字の引当金計上をせざる得なかったようです。
このほか内部統制上の問題点もまとめられています。
工事進行基準を適用している会社やこれから適用しようとしている会社にとっては、勉強材料になりそうです。
社外調査委員会の調査報告書について(PDFファイル)
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