マンション施工ミスの底なし沼
三井不動産の「パークシティLaLa横浜」と住友不動産の「パークスクエア三ツ沢公園」の不良工事事件を取り上げた記事。
ゼネコン業界への影響にもふれています。
「建て替え費用はデベロッパーからゼネコンにツケ回されるのが業界の“慣例”だ。とはいえ、それを背負うだけの余力が、準大手ゼネコンにはない。
LaLaを手掛けた三井住友建設の15年度の純利益見通しは100億円にすぎず、300億円ともいわれる建て替え費用を単独で負担するのはほぼ不可能だ。
ましてや、1月中旬に結果が出た管理組合によるアンケートで、住民の多くが全棟建て替えを希望していることが分かってからは、同系列の三井不と三井住友建設の間でも隙間風が吹き始めた。というのも「全棟建て替えは、住民による早期の合意形成はないと踏んだ三井不の勇み足」(不動産業界関係者)との見方があるからだ。
さらに、杭を施工した旭化成建材の親会社、旭化成は、三井住友建設と施工不良の原因をめぐって泥仕合を繰り広げている。
一方、三ツ沢公園を手掛けた熊谷組の完成工事高(14年度)は、3620億円とスーパーゼネコンの4分の1以下。今第3四半期で81億円の偶発損失引当金を計上しているが、これは1棟の建て替えを前提としたものだ。全棟建て替えで数百億円規模の負担が生じれば、今期の純利益見通しが102億円しかない同社にとって、存亡の危機となりかねない。」
シャープ支援で話題となった「偶発債務」が、この事件でも問題となります。熊谷組は、当サイトの記事でもふれたように、引き当てはしていますが、このダイヤモンドの記事によれば、1棟分だけです。(監査人は準大手ですが、引き当てさせているだけでも、がんばっている方でしょう。)
三井住友建設は、直近の四半期決算(2015年4-12月)では、偶発債務の注記すらしていません(監査人は大手)。
3月期本決算では、どういう会計処理・開示を行うのか、注目する必要があります。関係者間で負担の押し付け合いをしているところだからといって、注記すらしないというのは、どう考えてもおかしいといえます。
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