免震偽装の東洋ゴムが、2015年12月期第2四半期で164億円の特別損失を追加計上したという記事。
「東洋ゴム工業は10日、2015年6月中間決算を発表し、性能を偽装していた免震ゴムの取り換え費用で新たに164億円の特別損失を計上した。
「5月発表の15年1~3月期決算でも140億円の特損を出し、今回の追加損失で計304億円に膨らんだ。同社は「さらに追加で計上する可能性がある」と説明している。」
会社のプレスリリース
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特別損失の発生に関するお知らせ(PDFファイル)
交換の対象となる建物は変わらないようですが、「試算し直した結果」追加計上したそうです。
「第 2 四半期決算には、第1四半期と同様に全 154 棟で交換を想定する約 3,000 基をベースに交換用の免震製品代金、改修工事費用、構造再計算費用、諸経費、代替品開発費用等について試算し直した結果、164 億円(製品補償引当金繰入額 150 億円、製品補償対策費 14 億円)を特別損失として追加計上し、合計 304 億円を特別損失として計上しております。 」
「現時点で合理的に金額を見積もることが困難なもので、今後発生する費用がある場合」引当金追加計上の可能性があるそうです。
東洋ゴム:新たに164億円の特別損失計上(毎日)
「同社は5月に発表した1〜3月期連結決算で、免震ゴム約3000基分の交換工事費用としてまず特別損失140億円を計上していた。今回は、新たに確定した改修工事の費用などを追加計上した。
山本卓司社長は同日、大阪市内で記者会見し、交換工事費用の総額の見通しについて「合理的に見積もり困難で今後、追加で(特損を)計上する可能性がある。現時点ですべては見通せない」と述べた。」
確定していないけれども発生確率の高い支出がまだかなりあるのでしょうか。
見積りといえばこの会社も・・・
オリンパス、4―6月当期利益は過去最高 海外違法行為で特損も(ロイター)
「米国とブラジルのグループ会社の医療機器販売で、医師への営業行為に問題があるとして米司法省が海外腐敗行為防止法に基づき調査している問題で、違反行為で罰金を受ける可能性を見込んだことから、24億円の引当金を特別損失に計上した。
記者会見した竹内康雄専務は「医師を呼んで医療機器のトレーニングをすることは営業活動として行ってはいけないが、内部監査で違反が発見されて米司法省に自己申告していた」と説明した。・・・
米司法省の法令違反調査をめぐっては、今年3月末も、米子会社が不当なリベートを医師に提供していた疑いで539億円の特損を計上。今回はブラジル中心の案件で24億円の特損計上となった。」
粉飾事件の後始末も終わっていません。
「このほかオリンパスでは、2011年に発覚した損失隠し事件に対し、国内の信託銀行などから総額490億円の損害賠償請求を提起されていることも、特損計上につながる可能性がある。」
引き当てに至っていない事件も残っているようです。
「また米国内で抗生物質が効かない薬剤耐性菌(スーパー耐性菌)の感染が十二指腸内視鏡を通じて広がったとされる問題では、米国内で十数件の民事訴訟が提起されている。」
別の見積もり項目である繰延税金資産は、復活したようです。(回収可能性指針の先取り?)
「法人税が繰延税金資産の計上でマイナスになったことから、4―6月期として過去最高の最終利益を計上した。」
平成28年3月期 第1四半期決算短信〔日本基準〕(連結)(PDFファイル)
当サイトの関連記事(薬剤耐性菌の感染問題についても少しふれています)
こちらの会社の見積りも注目されます。監査人は厳格に見ているのでしょうか。
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タカタ、今期予想を上方修正 弁護士費用増などで純損益は維持(ロイター)
「今期のリコール関連費用は、もともと新たなリコール台数増加を織り込んでおらず、主に弁護士費用などとして通期で70億円を見込んでいたが、120億円に修正した。4―6月期は54億円となっており、計画よりかさんでいるため。
4―6月期の純損益は、30億円の黒字(前年同期は386億円の赤字)だった。前年同期に447億円を計上した製品保証引当金繰入額は、現時点では合理的に見積もることが困難として計上していない。」
本来は、前期計上した引当金を、第1四半期決算作業中に得られるべき情報により、更新する必要があるのでは。
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