企業会計基準委員会は、「連結財務諸表における特別目的会社の取扱い等に関する論点の整理」を、2009年2月6日付で公表しました。4月13日までコメントを募集しています。
取り上げられている論点は以下のとおりです。
【論点1】支配の定義と支配力基準の適用について
【論点2】連結対象となる企業について
【論点3】特別目的会社の取扱いについて
【論点4】特別目的会社に関する開示について
【論点5】支配が一時的な子会社について
このうち論点3では、「一定の要件を満たす特別目的会社について、その出資者等の子会社に該当しないものと推定するという取扱いを削除することが考えられる」(本論点整理の概要より)とされています。
子会社の範囲(連結の範囲でもある)は支配力基準によって決定するのが原則ですが、特別目的会社(要件あり)については、(支配していても)子会社にしない(したがって連結範囲にも含まれず、資産のオフバランス処理もできる)ことになっています。なぜこういうルールになったのか事情はよくわかりませんが、おそらく連結原則で支配力基準を導入した際、原則どおりだと流動化ができなくなるということで、あまり検討せずにあわてて例外的取扱いを決めたのでしょう(当時は資産流動化が国策だったので)。
しかし今回の金融危機では、欧米の金融機関で証券化商品を特別目的会社(事業体)を使ってオフバランスしていたのに、状況が悪化した途端、オンバランスに戻さざるをえなくなったというケースが出てきたり、日本でもライブドアや日興コーディアルの事件で特別目的会社が不正に絡んでいたということもあって、見直すことになったのでしょう。
論点3や論点5(支配が一時的な子会社について)が、「支配力基準によって子会社を決定し、その決定された子会社はすべて連結する」という原則の例外について議論しているのに対し、論点1は、支配力基準自体を新しい概念を加味して見直そうというものです。リターンとパワーという考え方が登場します。
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