国際会計基準審議会(IASB)が、企業のM&A(合併・買収)を巡る欧米の会計基準を2009年7月に統一することを決めたという記事。
日経夕刊(10日)の記事によれば、国際会計基準と米国基準における会計処理統一のポイントは以下のとおりです。
・少数株主持分は資本に計上
・合併・買収時のリストラ引当金計上の条件を厳格化
・合併・買収時の仕掛かり研究開発費を資産計上
・子会社株式の売却は損益計算書に反映しない。
別の報道によれば、合併・買収の際の金融機関の手数料も、従来、買収の取得原価に含めて、結果として、のれんに計上されていたものが、発生時に費用計上することに変更されたとのことです。
米国基準の方はすでに12月に改正済みです。
当サイトの関連記事(米国基準の改正について)
日本の企業会計基準委員会でも企業結合の論点整理を昨年末に出しています。
当サイトの関連記事(ASBJの企業結合会計論点整理について)
同上(同じく研究開発費論点整理について)
IASB completes the second phase of the business combinations project(IASBのプレスリリース)
IASBの企業結合会計プロジェクトフェーズⅡのプロジェクトサマリー(改正の概要、米国基準側の変更点、改正の考え方も出ています。)(PDFファイル)
今回の統一基準と日本の現行基準とのもっとも大きな違いは、統一基準の方が、親会社説を完全に捨てて、親会社の株主の持分も子会社の少数株主の持分も大きくくくれば同じ資本であるという考え方になったことです(米国基準の方が変更した)。純利益も少数株主持分控除前が最終となります。
考えてみれば、子会社の業績に配当が連動するトラッキングストックなどは、形式上は親会社の発行する株式ですが、子会社の少数株主持分と性質は似ています。また、親会社が優先株を発行していれば、資本や純利益には、優先株の株主と普通株の株主という別個の種類の株主の持分が含まれています。その延長で考えれば、少数株主持分を引く前の利益を、連結グループの最終利益としたうえで、それを連結グループへの資本提供者である親会社の株主と子会社の少数株主で分割すると考えてもおかしくはありません。
子会社株式の部分売却も、単に少数株主から連結グループに追加出資が行われたと考えるのでしょう(借方:現金、貸方:資本)。売却の結果、親会社持分が増減するとしても、それは同じ資本の中の親会社持分と子会社持分の間のやりとりにすぎず、損益にはしません。
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