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「金融商品会計基準(金融資産の分類及び測定)の見直しに関する検討状況の整理」の公表(ASBJ)

「金融商品会計基準(金融資産の分類及び測定)の見直しに関する検討状況の整理」の公表

企業会計基準委員会は、「金融商品会計基準(金融資産の分類及び測定)の見直しに関する検討状況の整理」を、2010年8月16日に公表しました。

金融商品会計基準の全面的改正に関しては、昨年5月に「金融商品会計の見直しに関する論点の整理」が公表されていますが、その後、国際財務報告基準(IFRS)第9号「金融商品」が公表されるなどしたため、金融資産の分類及び測定を中心とする検討を先行して実施し、今回その検討状況を公表したものです。(検討範囲が絞り込まれているだけでなく、今回の「検討状況の整理」の方が「論点の整理」より、基準案・指針案に近いものとなっています。)

検討状況の整理の概要は以下のとおりです(「概要」より適宜抜粋)。基本的にはプレスリリースで示されているとおりIFRS第9号をベースにしています。

1.金融商品の範囲

・金融資産、金融負債及びデリバティブの定義の仕方を変更し、金融資産、金融負債及びデリバティブをその特徴により定義し、商品名を例示

・デリバティブの純額決済性については、IFRS と同様に、定義から削除

2.金融資産の分類及び測定の基本的なモデル

・主な分類を、償却原価測定の分類及び公正価値測定の分類の2 つとする混合測定属性アプローチを採用

・償却原価を適用する金融資産は、金融資産を管理する事業モデル及び金融資産の契約キャッシュ・フロー特性の2 要件により分類

3.公正価値オプション

・(償却原価測定の分類について)会計上のミスマッチが取り除かれる又は大幅に削減されることを条件として、金融資産を公正価値で測定し評価差額を純損益とするとの指定を、当初認識時に限り許容

4.公表される市場価格のない株式の分類

・公表される市場価格のない株式への投資について、公正価値で測定するものとして分類しつつ取得原価が公正価値の適切な見積りとなる場合の適用指針を設ける案と、公正価値を信頼性をもって測定できない場合に取得原価で測定するものとして分類する案という2つの案を提示

(「IFRS 第9 号では、活発な市場における相場価格がなく、その公正価値が信頼性をもって測定されない資本性金融商品への投資は、公正価値で測定するという原則を維持しつつ、その適用上、取得原価があり得る取扱いとなっている」そうです。)

5.株式への投資に関するその他の包括利益での評価差額の認識(OCI オプション)

・一定の株式について、公正価値測定の評価差額をその他の包括利益(OCI)に認識する取扱いを設ける。

・売却損益について、リサイクリングを行わない案(IFRSと同じ)と、リサイクリングを行う案という2つの案を提示

(リサイクリングを行うとすると、従来の減損処理(損益に計上)を残す必要が出てきますが、そのあたりは「基本的には現行の取扱いを踏襲」ということで検討を先送りしています。)

6.外貨建取引等会計処理基準への影響

・外貨建債券の場合、公正価値又は償却原価のいずれかで測定されるが、いずれの場合も、決算時の為替相場による換算差額は純損益に反映

・外貨建株式の場合、決算時の為替相場による換算差額は、原則として純損益に認識。OCI オプションの指定を行う場合には、その評価差額に決算時の為替相場による換算差額を含める。

7.適用指針案

・金融資産を管理する事業モデルの要件、金融資産の契約キャッシュ・フロー特性の要件に関する具体的な指針、契約上リンクしているトランシェの取扱い、公表される市場価格のない株式への投資について取得原価が公正価値の適切な見積りとなる場合の指針等を提供

1~7以外の論点としては、組み込みデリバティブの分類(複合金融商品全体に対して分類を判定)、個別財務諸表における子会社及び関連会社に対する株式の取扱い(減損処理の際の「実質価額」という考え方を残す)などが検討されています。

なお、他の論点(金融負債の分類及び測定、減損、ヘッジ会計)も含めた包括的な金融商品会計基準見直しの公開草案は、2011年上期に公表する予定(IASBの金融商品会計プロジェクトの進捗状況によっては変わる可能性あり)とのことです。

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