金融庁などは、各業界団体等代表者あてに、「金融機関におけるM&A支援の促進等について」という文書を通知しました(2024年8月30日)。
「金融庁においては、金融機関によるM&A支援を一層促すとともに、M&A・事業承継時における経営者保証を見直す枠組みを構築すべく、中小企業庁においては、信用保証協会においても金融機関同様に経営者保証を見直す枠組みを構築すべく、監督指針の改正を行い、官民金融機関に下記のとおり要請しました。」
以下のような点について要請を行っています。
1.金融機関によるM&A支援促進
2.M&A・事業承継時における経営者保証への対応
3.「事業承継時に焦点を当てた『経営者保証に関するガイドライン』の特則」の周知
4.「経営者保証に関するガイドライン」に係る取組方針の見直し
5.事例集を活用した態勢整備
6.信用保証付融資の取扱い
7.その他の事業者支援
このうち、「経営者保証への対応」については...
「民間金融機関においては、本年 10 月に適用予定の改正監督指針の趣旨・内容について営業現場の第一線まで漏れなく説明し、運用開始までに確実に浸透させること。また、事業者等の理解と納得を得ることを目的として、可能な限り、資産・収益力については定量的、その他の要素については客観的・具体的な目線を示すなど、事業者等の状況に応じた個別具体的な説明・記録に努めることを、各金融機関の企業文化として定着させるための態勢を整備すること。加えて、本部部署等において、適切に説明・記録が実施されているかどうか、監査やモニタリングにより確認すること。
さらに、今般の監督指針改正を踏まえ、新たに締結する保証契約のみならず、M&A・事業承継など主たる株主等が交代することを金融機関が把握した保証契約や、令和5年3月以前に締結した根保証契約についても、上記の対応を着実に実施すること。
なお、今般の監督指針改正が個人保証を制限する趣旨でないことを十分に理解し、貸し渋り、貸し剥がしを行わないことは勿論のこと、そのような誤解が生じることのないよう留意すること。」
監督指針についてはこちら。
「中小・地域金融機関向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等の公表について(金融庁)
(金融庁資料より)
当然のことですが、M&Aや事業承継が行われたからといって、経営者保証が外れるわけではありません。金融庁が金融機関に求めているのは「どうすれば経営者保証の解除の可能性が高まるか等の説明を事業者にすること」までのようです。