経済学者の竹中平蔵氏が、かつて、住民税を払わなくて済むよう努力していたという記事。脱税ではないようです。
「九〇年代前半、アメリカと日本を股にかけて生活していた四年間、竹中は住民税を支払っていなかった。
地方自治体は市民税や都道府県税といった地方税を、一月一日時点で住民登録している住民から徴収する。したがって、一月一日時点でどこにも住民登録されていなければ、住民税は支払わなくて済む。
竹中はここに目をつけ、住民登録を抹消しては再登録する操作を繰り返した。一月一日時点で住民登録が抹消されていれば、住民税を払わなくて済むからである。
小泉内閣の閣僚になってから、住民税不払いが脱税にあたるのではないかと国会でも追及された。アメリカでも生活していたから脱税とはいえないけれども、しかし、住民税回避のために住民登録の抹消と再登録を繰り返す手法はきわめて異例だ。
じつは竹中自身、かつてこれを節税の秘策として吹聴していた。もちろん「脱税疑惑」と騒がれる前だが、『週刊朝日』(二〇〇〇年五月二六日号)の対談で、作家の林真理子に堂々と勧めている。
竹中 私は、作家の方こそ、海外で過ごすべきだと思いますよ。税金が減りますよ。
林 どうしてですか?
竹中 地方税を支払わなくていいんです。地方税は台帳課税主義で、一月一日時点で住民台帳に載っている人がそこの場所で払う。もちろん海外に生活の基盤があることが前提ですが、一月一日にどこの住民票台帳にも載っていなければ、払う必要ありません。」
本来は住民であった期間に対応して税金を納める仕組みであるべきですが、手続き的に非常に面倒であり、また、日本国内に住んでいる限りは、日本のどこかの地方自治体で課税されるので、そこまでしなくてもいいということなのでしょう。
そういういう弱点をねらったやり方は竹中氏らしいといえそうです。
最近竹中氏は、ベーシックインカムを提唱して、いろいろとたたかれているようです。
その一例。
竹中平蔵氏の提唱するベーシックインカムは、どこが「亡国の政策」なのか(DOL)
「ベーシックインカムが社会保障として機能するためには、低所得層に対しては満額給付、高所得層に対しては実質的にゼロ円給付になる徴税の仕組みが必要だ。言い換えれば、高所得層の所得が確実に把握され、より高額の徴税が確実に実行され続けなくては、ベーシックインカムは社会保障として機能しないのである。
竹中氏は、筆者のこの不安に先手を打つかのように、「所得が一定以上の人」は後でベーシックインカムを「返す」制度であると述べている。確実に返されるようにする方法としては、「マイナンバーと銀行口座を紐付け」することによる所得の把握が述べられている。一見、確実な所得の把握と徴税が可能になるように見える。
しかし日本は、1976年以来、所得税の累進課税の累進性を緩和し続け、高所得層に対する税率を相対的に引き下げ続け、低所得層に対する重税となり得る消費税を導入して、税率を上げ続けている国である。高所得層に対する所得の把握と実質的な増税に関して、本気の「やる気」があるとは考えられない。」
「竹中氏の構想が実現すると、現在、生活保護以外に収入源を持たない人々は、月7万円のベーシックインカムだけで生活することになる。そこに、現在の生活保護がカバーしている住宅・医療・教育などの費用は含まれていない。完全にベーシックインカム“のみ”での生活は、経済的にジワジワと健康や体力や気力を奪い、やがて死へと追い詰められるようなものとなるだろう。」
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