日本公認会計士協会は、業務本部 2020年審理通達第1号「前任監査人の監査調書の閲覧に関する留意事項」を、2020 年 2 月 20 日付で公表しました(ウェブサイトへの掲載は2月28日)。
金融庁の「監査法人のローテーション制度に関する調査報告(第二次報告)」において、監査人交代に際して、手作業による監査調書の書き写しが行われている、引継ぎが効率的ではないのではないかとの課題が提示されたことを受けて、取りまとめられたものです。
関連する監査基準委員会報告書 900「監査人の交代」と同510「初年度監査の期首残高」の規定を示したうえで、留意事項を述べています。
まず、そもそも、前任監査人の監査調書を複写することは、必須事項ではないと述べています。
「監査調書の閲覧に際しては、期首残高に当年度の財務諸表に重要な影響を及ぼす虚偽表示が含まれているかどうかについて監査証拠を入手できるかという観点から、重要な勘定科目につき、前期末残高に対する前任監査人のリスク評価とリスク対応手続を理解することに努め、その内容について要約した監査調書を作成することが肝要であり、期首残高に関する監査証拠を入手する目的で前期末の前任監査人の監査調書を複写することは必須事項としては求められていないことを改めて認識することが重要である。」
そして、監査調書の閲覧の目的を十分理解した上で、前任と後任が協議・協力することを求めています。
「こうした監査調書の閲覧の目的を十分理解した上で、少なくとも、大量の監査調書を書き写すといった引継ぎとならないよう、引継ぎの方法(引継ぎ期間や監査調書の閲覧機会の十分な確保を含む。)について、前任監査人と後任監査人が十分に協議し、協力することが重要であることに改めて留意されたい。 」
結局、コピー機による複写を認めるべきとは、述べていません。
協会では、今後も、監査人の引継ぎの効率化に向けた検討を行っていく予定とのことです。
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