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企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議(5月28日開催) 議事次第(金融庁)

企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議 議事次第

5月28日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会合同会議の資料が金融庁のサイトに掲載されました。

審議内容については、すでに報道されているとおりのようです。(→当サイトの関連記事

資料によると3つの項目についてそれぞれ以下の論点が示されています。

1.IFRS任意適用要件の緩和について

・上場要件については新規上場予定会社においても IFRS を任意適用しようとするニーズが出てきていること、また、海外上場等の要件についてはハードルが高いとの指摘や海外連結子会社がなくても IFRS を任意適用したいというニーズが出てきていること、に関してどう考えるか。

・任意適用要件を緩和するメリット、デメリットについてどう考えるか。また、想定されるデメリットについては、現行の規則等で対応可能なものと考えられるか。

・その他、任意適用要件の緩和に関連して、検討すべきことはないか。

2.IFRSの適用の方法について

エンドースメントの是非について、想定されるメリット・デメリットを踏まえ、どのように考えるか。

特に、我が国で使用できる会計基準が3つから4つに増加することに関して、どう考えるか。この点については、新たに導入される基準が Pure な IFRS と現行日本基準との中間に位置するものであり、財務諸表の比較可能性に重大な支障をもたらすものではないといえるか。また、我が国の国益も勘案しつつ、会計基準の国際的調和を図るための手段として容認できるか。

・エンドースメントの主体については、会計基準の策定能力が必要であり、現実的にはASBJ(企業会計基準委員会)が適当と考えられるがどうか。なお、現行の日本基準と同様、ASBJ がエンドースメントした基準について、更に当局が指定することについてどう考えるか。

・個別基準のエンドースメントに関する判断基準についてどう考えるか。

・その他、IFRSの適用のあり方に関し、論点とすべき事項はないか。

3.単体開示の簡素化について

・金商法開示と会社法開示との二重の負担を軽減するという趣旨から、金商法上要求されている貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書を会社法の計算書類で代替することについてどのように考えるか。

・注記、附属明細表、主な資産・負債の内容について、金商法開示固有の事情または利用者のニーズが大きい項目等については、引き続き開示を要求する必要があるか。また、具体的にどのような項目がこれに該当すると考えられるか。
その際、連結財務諸表で連結ベースの情報が開示されていれば(単体開示は)要求しないと考えることはできるか。

・日本基準を適用して連結財務諸表を作成している会社と指定国際会計基準を適用して作成している会社とでは、連結ベースの開示内容に差異が見受けられることから、こうした差異の程度に応じ、単体開示において異なる取扱いを定めることについてどう考えるか。

・単体開示のみの会社については、見直しを行わないことについてどう考えるか。

「3.単体開示の簡素化について」に関しては、「単体開示を簡素化してはどうか」という言い回しになっており、方向性は比較的はっきりしている模様です。

注記や附属明細書も含めて会社法計算書類ですから、計算書類で代替するのであれば、まるごと入れ替えということでしょう。他方、後発事象の問題があり、また、計算書類作成後の微修正ができなくなるなどの問題(?)もありそうです。

「主な資産・負債の内容」は連結グループ内の親会社の比率が高ければ意味があるものですが、事業活動の多くを子会社で行っているようなグループ形態の場合は、利用価値はあまりなさそうです。開示項目から削除するか、逆に連結ベースで開示するかのどちらかでしょう。

ところで、配布資料では、「日本基準と IFRS との間で有利な方を選択する企業が増加する」という任意適用要件緩和のデメリットに対して、以下のような考え方が書かれていました。

企業会計原則では、「企業会計は、その処理の原則及び手続を毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない」とされており、我が国における基本的な会計の考え方を踏まえれば、IFRS の任意適用を選択した企業は合理的な理由なく日本基準等へ変更することはできない。」

企業会計原則は日本基準の中の基準のひとつにすぎません。どの財務報告フレームワークを適用するのかを決める際のルールではないと思います。こんなところで引用すべきではないでしょう。実害はないかもしれませんが・・・。

金融相、国際会計基準「結論得る状況にない」 強制適用めぐり(日経)
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