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横浜マンション傾き問題、施工3社を提訴 三井不動産系(朝日より)

横浜マンション傾き問題、施工3社を提訴 三井不動産系

横浜の傾きマンション問題で、分譲した三井不動産レジデンシャルが施工会社など3社を相手に、約459億円の損害賠償を求める裁判を起こしたという記事。

訴えられたのは、三井住友建設(元請け)、日立ハイテクノロジーズ、旭化成建材です。

「三井不動産レジデンシャルは、これまで3社と建て替え費用や住民の仮住まい費用の補償について協議してきたが、合意に至らず提訴した、としている。」

「杭工事を巡っては、杭の一部が固い地盤に届いておらず、施工時のデータ偽装も発覚。国土交通省は昨年、日立ハイテクが杭工事を旭化成建材に丸投げし、三井住友建設も黙認したとして3社を営業停止などの処分にした。」

この問題の会計上の処理については、立て替え費用や顧客へのその他の補償を、まだどの会社もほとんど損失計上していないようです。本来は、顧客に立て替えとその他補償を約束した分譲会社が、まず損失を計上した上で、法的に、施工業者へ確実に求償できると見積もられる部分のみを、損失から差し引いて(あるいは年度が違えば利益に計上して)、施工業者への未収入金として計上するべきでしょう。

当社グループ会社分譲済みの横浜市所在マンションに係る訴訟提起について(三井不動産)(PDFファイル)

三井不動産の直近の四半期決算短信より。

「レジデンシャル社は、平成28年5月8日、当マンションの管理組合との間において、杭の不具合に起因する当マンションの建替えを含めたいくつかの是正方法および補償に関する方針、並びに当該事象にかかる費用をレジデンシャル社が負担する旨の合意書(以下、「合意書」とする。)を締結いたしました。また、当マンションの管理組合は、平成28年9月19日、是正方法として建物の区分所有等に関する法律に基づく決議を行い、全棟建替えを行うことを決定いたしました。

当マンションについては、施工会社である三井住友建設株式会社より杭施工時に施工記録のデータの転用・加筆等が行われたとの報告書を受領し、また、杭の一部が支持層に未達であること、当マンションが建築基準法違反であることが確認されております。このため、レジデンシャル社は、上記合意書に基づく当マンションの建替え費用、建物工事期間中の仮住まい費用等発生費用のすべてについて、施工会社である三井住友建設株式会社並びに杭施工を行った株式会社日立ハイテクノロジーズおよび旭化成建材株式会社に対し、不法行為責任、瑕疵担保責任等に基づき求償いたします。上記発生費用は、総額で約390億円と見込まれ、レジデンシャル社が当第2四半期連結会計期間末までに仮払いしている金額については、当社四半期連結貸借対照表の流動資産に計上しております。」(レジデンシャル社:三井不動産レジデンシャル)

求償するのは勝手ですが、裁判などで法律的に求償権が認められるまでは、不確実な未実現の利益であり、損失から相殺すべきではないでしょう。

横浜傾斜マンション問題、三井不動産が459億円の賠償求め提訴 施工主など3社に、東京地裁(産経)
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