スルガ銀行のシェアハウス関連不正融資事件の記事。
販売会社の担当者は、スルガ銀行が不正を指示していたといっているそうです。
「別のオーナーが録音した販売会社の担当者とのやりとりでは、改ざんを認めた上で、スルガ銀行の指示だと話している。
オーナー「口座の残高とか源泉徴収票とか水増ししていましたよね?」
販売会社の担当者「そうですね。そのような感じで銀行に出しています。銀行からの指示です」
また、別の販売会社の社員は、実際にスルガ銀行の行員と改ざんの指示ともとれる会話を交わしたという。
販売会社の担当者「(オーナーの)年収・勤め先・年齢がこれぐらいで『この人、審査通りそうですか?』という話をします。その時に(行員が)『(オーナーの)金融資産はいくらぐらいだと思う』と言う。勝手に決めてくるってこと」
オーナーの資産を銀行側が決めるのだという。さらに、改ざんの方法についても専門の業者に作り込んでもらうよう指示を受けたという。
販売会社の担当者「(改ざんは)下手にやると文字がゆがんだりしそうだから、そういうのうまくやる職人みたいな人にお願いする感じ。(行員から)『最近、審査部のチェックが厳しくなっているんで、ちゃんと作り込んだやつをお願いしますね』と言われたことも」」
監査人もちゃんと作り込んだ融資資料を見て、監査しているのでしょう。
「問題点、さらに深掘る」 スルガ銀不正で第三者委員長(朝日)
「シェアハウス融資の不正問題で、地方銀行スルガ銀行(静岡県沼津市)が設置した第三者委員会の中村直人委員長(弁護士)が22日、朝日新聞の取材に応じた。同様の不正が横行している中古1棟マンション投資の融資も含めて幅広く実態を調べるとし、結果は8月末にも公表するという。」
8月末まで融資の実態がわからないのに、監査意見が出せるものなのでしょうか。
問題は、シェアハウス関連融資だけではありません。
「朝日新聞の取材では、融資での不正は中古1棟マンション投資でも横行していた。中村氏は「類似の商品性を持つものは問題がありうる。特定の支店や担当者に限定せず、報道なども参考にして視野を広げて調べる」と述べた。調査結果は「頑張って8月中には答えを出したい」と話した。」
第三者委員長「スルガ銀社長の覚悟感じた」 融資問題で(朝日)
「――「日弁連方式」とは。
「スルガ銀は社内調査の一環で危機管理委をつくったが、顧問弁護士もメンバーで、報告書は公表されない。日弁連方式は、調査の範囲や手法、報告書の中身まで、委員会の権限で進める。独立性が高く、依頼者がコントロールできない仕組みで、世の中の信用を得やすく、改善策や企業の再出発にもつなげやすい」
――スルガ銀の社内調査の評価は。
「事実認定は不十分なところがあるが、問題点はかなり踏み込んで評価した印象だ。ただ我々は真っ白な状態で調べ、問題点をさらに深掘りしたい」」
大臣の記者会見でも質疑があったようです。
麻生副総理兼財務大臣兼内閣府特命担当大臣閣議後記者会見の概要(金融庁)
「問)
スルガ銀行の関係なのですけれども、スルガ銀行の行員が審査書類の改ざんを認識しながら融資を実行していたという内部調査が出たところですが、この結果についての受け止めをお願いします。
答)
シェアハウスの件でしょうか。シェアハウスの融資の形態というものについて、これはスルガ銀行が危機管理委員会によってその調査結果の内容を、シェアハウスの融資についての内容を発表したということは承知しています。そこで指摘された事案について、スルガ銀行としては、スルガ銀行だけの調査ではなくて、改めて第三委員会か何かを設置して調査を行うのだという具合に承知しています。調査結果を踏まえてスルガ銀行自らが根本原因をはっきりさせるという努力をされておられるということなので、改善を図っていくというのは大事なのですが、いずれにしても金融庁としては現在実施しております検査において実態把握の結果というのが出ますから、その結果を踏まえて私共としては適正に対応していきたいと考えています。
問)
今のスルガ銀行の件なのですけれども、かつて金融庁としてはスルガ銀行というのは新しい地銀のビジネスモデルを開拓する模範生だというふうに評価していた側面もあったかと思うのですけれども、こういう事態になるとなかなか新しいビジネスモデルを低金利の中でつくっていくというのはやっぱり難しいものなのでしょうか。そこら辺の大臣の御所見、受け止めをお願いします。
答)
新しいモデルを開発していこう、いわゆる利ざやだけでなかなか稼げない時代ですから、いろいろな意味で新しいものを開発していこうという努力は、しない限りは、こういう地方銀行というものは人口減少とかいろいろな形の中でなかなか生き残りにくくなっているという実態に合わせてそういう努力をしているというのは極めて正しい姿勢なのだと思います。その中でこういった形になっていますけれども、それはその部分が問題なのであって、その他の部分がおかしいというふうに考えているわけではありません、そこのところは。新しい努力をしないところは、それはやっぱり難しくなります。これは別にスルガ銀行に限った話ではありません。」
金融庁の検査結果も出ていないのに、監査意見が出せるのでしょうか。
後半は、長官をかばっているようにも聞こえます。
スルガ銀不正融資事件が「日本版サブプライム問題」に発展する懸念(ダイヤモンドオンライン)
「不正融資に手を染めたスルガ銀行の個々の行員は、おそらく自分のためというよりは、銀行のためなのだという建前を言い訳にして、データ改竄や不当な信用審査の見過ごしなどを行ったのだろう。そう推測するのは、普通の銀行員が自分の責任で、返済能力の怪しい貸し先に融資したいなどと思うはずがないからだ。
所属する「組」のためだと思う反社会的勢力の構成員が、組長の命令に従って犯罪を犯したり、もっと一般的なケースでは、兵士が国益や上官の命令に名を借りて平気で殺人を犯したりするのと、構造は似ている。
また、これらの場合、組員も兵隊も銀行員も、自分個人の人事評価的利害のためには悪事に関わる方が得だという事情が共通だ。
ここでは、組織だけが悪いわけでも、個人だけが悪いわけでもない。両方悪いし、加えて組織の目的・構造・マネジメントのいくつかが悪いのだ。」
「スルガ銀行が力を入れていた、主として個人向けのアパートやシェアハウスに対する融資、あるいは無担保のカードローンは、多くの借り手が情報弱者であることもあって、一時的に銀行業界の収益に貢献したが、近い将来、今回問題になった案件のような不良債権を生むにちがいない。
日本の経済全体に関わる問題としては、似たような性質の“不良”な信用拡大がどの程度あるのかだ。
バブルとは、過剰な(=不良な)融資の拡大がもたらす「一時的な資産価格の上昇現象」なので、その規模を決めるのは市場の熱狂よりもむしろ信用の拡大だ。金融業界として金融マン個人への制御が効かないと、金融マンの仕事はこのバブルをせっせと着実に拡大させる。」
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