利益相反を懸念/本業に不利益も (記事冒頭のみ)
大手法律事務所が、所属弁護士の社外取締役への就任に消極的だという記事。利益相反を心配しているのだそうです。
「上場会社で複数選任が求められるようになった社外取締役の供給源として弁護士への期待が高まる中、大手法律事務所の対応が煮え切らない。所属弁護士が特定企業の社外取締役に就くと競合他社と取引しにくくなる上、当該企業の大きな案件も受任しづらくなるためだ。」
「大手が消極的なのは2つの理由がある。
第1は、弁護士法と日本弁護士連合会の規程が弁護士の「利益相反取引」を禁じるためだ。例えばA弁護士がX社の社外取締役になれば、X社の利益に尽くす義務が生じ、原則としてA弁護士は競合Y社とは取引できない。
同僚の弁護士はどうか。「規制対象は個々の弁護士。所内で情報遮断すればY社の仕事も受けられる」(西村あさひ)と割り切る事務所もあるが、「X・Y両社から承諾を得なければ無理」(長島・大野・常松)とか「好ましくない」(アンダーソン・毛利・友常)と慎重な事務所が多い。
中堅中小の事務所ならボス弁と懇意の会社とだけ付き合えば済むが、所属弁護士が多くの企業と取引する大手では利益相反は頭の痛い問題だ。1人の弁護士が年数百万円の報酬で特定企業の社外取締役になってしまうと、はるかに報酬の高いM&Aなどの助言を競合他社から依頼された場合に受けるのが難しい。営業面の不利益が生じる。
第2の理由は、統治指針や東証の上場規則が社外取締役に就任先企業や経営陣からの「独立」を求めているからだ。上場会社は社内ルールで、自社との取引額が総収入金額に占める割合が2%を超える者などを独立役員と認めない事例が多い。」
大手監査法人の場合も同じような問題があるはずです。独立性確保の観点から、監査クライアントになる可能性のある会社の役員にパートナーが就任することは、基本的に禁止されていると思われます。また、アドバイザリー業務でも、例えば、買収される側のために助言を行っているのに、買収する側の役員になっているというのでは、利益相反になるので、そういう可能性が生じる役員就任は禁止されていると思います。(そういうおそれのない親族の会社の役員になるのは、認めているかもしれません。)
中小監査法人の場合は、シェアが低いので、今現在、独立性や利益相反に抵触しなければ、社外役員就任の余地はありそうです。
最近の「企業会計」カテゴリーもっと見る
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
2000年
人気記事