会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

なぜ日本人ばかりが米国で投獄されるのか?(日経ビジネスより)

なぜ日本人ばかりが米国で投獄されるのか?
過去5年、カルテルや談合で30人超


日本の会社や日本人が米国で反トラスト法により処罰を受けるケースが多いことについて、米国の弁護士にインタビューした記事。

「2010年以降、自動車部品メーカーを中心に、価格カルテルの罪に問われる企業が相次いでいる。過去5年で、カルテルや談合で投獄された日本人は30人を超える。つい最近も、日立オートモティブシステムズがショックアブソーバーにおける価格操作を認めて約56億円の罰金を支払うと発表した。他の外国企業も制裁を受けているが、厳しい制裁を受けるのは群を抜いて日本企業が多い。」

日本のビジネス文化が関わっているようです。

「カプール:いくつかの価格操作は実際にあったでしょう。ただ、実際に起きたことのかなりの部分は日本のビジネス文化や慣習と、米国で反トラスト法を執行する際のコンフリクト(衝突)によるものだと考えています。

日本のビジネス文化では、礼儀という面で、あるいは社会的な慣習として、競合他社の人間に会うことは珍しくありません。最近でこそ、競合同士が集まる場所で、価格など特定のトピックを話すべきではないということを理解するビジネスパーソンは増えていますが、仮にセンシティブな話題に出た時に、異議を唱えたり、はぐらかしたりするのは失礼に当たると考える人もまだいると思います。

そういった人々が「確かに、価格が少し安すぎますよね。何か対応を考えた方がいいですよね」と相づちを打ったとしても、それが価格操作に対して同意したということには普通はなりません。明晰な司法省の人々も、きっとそう思うでしょう。ただ、仮に社内を調べる過程で企業が先のようなコメントを見つければ、罪状を認めるという大きなインセンティブになってしまう。」

企業も他社が先に罪を認めた場合などのリスクが大きすぎて、こういうやりとり、コメントがあると、従業員を守ることよりも、リスク回避を優先するようです。

予防策は...

「カプール:冗談のような話ですが、かつて反トラスト法を専門にする弁護士はクライアントに「その場でグラスを割れ」とアドバイスしました。例えば、競合同士が集まるディナーの場で価格にまつわる話題が出たら、その場でグラスをたたき割って席を立てという話です。ひどく無礼のような話に聞こえるかもしれませんが、価格について話すよりはベターです。

予防的な手段として、従業員に対して反トラスト法を教育することも重要です。メールのやりとりなど自社の社員と競合相手とのコミュニケーションをモニターすることも必要だと思います。極端に感じるかもしれませんが、米国企業は実際にやっていますし、日本企業でも始めたところがあります。

今の時代、競合同士でもビジネス上の関係があるもの。完成車メーカーの要望で、他社に部品を供給することもあるでしょう。その時に、こういったモニタリングシステムは役に立つと思います。すべてのメールをモニタリングするのではなく、特定のキーワードでフラッグを立てるんです。」

この法律事務所の事務所プロフィール。

FIRM PROFILE

所属する弁護士の多くは、当局で違反を摘発する側の経験を積んでいるのだそうです。

Many of our attorneys developed their antitrust expertise through past careers as antitrust enforcement officials with state and federal agencies.
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