(事前にリークされた報道内容を当サイトでも取り上げましたが)金融庁は、「令和2事務年度金融行政方針~コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く~」を、2020年8月31日に公表しました。
30ページほどのものです(本文は20ページ)。そのほか、約60ページの補足資料が別冊としてついています。
また、概要が1ページにまとめられています。
以下の3つの重点課題に沿った構成になっています。
1.コロナと戦い、コロナ後の新しい社会を築く
「第一に、新型コロナウイルス感染症への対応に取り組む。金融機関が金融仲介機能を発揮して、企業や家計をしっかり支えられるよう、行政としても万全を期す。あわせて、コロナ後の経済の力強い回復と新しい社会の建設に備えられるよう目配りしながら、対応を進める。」
2.高い機能を有し魅力のある金融資本市場を築く
「第二に、我が国の金融資本市場の機能を高め、アジアや世界における役割を高められるよう取り組む。地政学的なリスクなどが強まる中で、日本市場は国際的なリスク分散にも貢献できる。我が国にも世界全体にも役立つ形で日本市場を発展させられるよう、知恵をしぼる。」
3.金融庁の改革を進める
「第三に、「金融育成庁」として力を発揮できるよう、金融庁自身の改革を進める。コロナ対応を契機とした働き方改革を更に進化・定着させる。職員が自由闊達に議論し、イニシアティブを発揮できる庁風を築く。実態把握力や政策的な構想力の水準を高める。」
概要より、会計に関係しそうな項目をピックアップすると...
「サステナブル・ファイナンスに関する考え方の検討を進める。」(上記1)
「企業がコロナ後の経済社会構造に向けた変革を主導できるよう、コーポレートガバナンス・コードの見直しを行う。(デジタル・トランスフォーメーションの進展にどう対応するか等、企業と投資家の間での建設的な対話のあり方を検討)」(上記2)
「成長資金の円滑な供給を図る観点から、取引所における市場構造改革の推進や取引所外の資金の流れの多様化など、我が国資本市場の機能・魅力の向上策を検討する。」(同上)
2番目の点について、本文では以下のように述べています。
「(3) コーポレートガバナンス改革と開示情報の充実
企業が、経済社会、産業構造の不連続な変化を先導し、新たな成長を実現するためには、株主をはじめ顧客・従業員・地域社会等との間で、企業のミッションと変革のビジョンを共有した上で、透明公正かつ迅速・果断な意思決定を行い、これを実行していくことが不可欠だ。本事務年度は、平成 29 事務年度に続き、東京証券取引所とともにコーポレートガバナンス・コードの見直しを行うが、これに際しては、特に企業がコロナ後の経済社会構造に向けた変革を主導できるためのコーポレートガバナンスのあり方を検討する。具体的には、
・企業がデジタル・トランスフォーメーションの進展やサプライチェーンの見直し、働き方改革にどう対応していくか
・そうした対応をどのように持続可能なビジネスモデルの確立につなげていくかに関する、企業と投資家の間での建設的な対話のあり方について検討を行う。
また、こうした建設的な対話に資するよう、コロナの影響も踏まえた開示の好事例の収集・周知や、監査報告書に監査人が監査の過程で特に重要と考えた事項(KAM)を記載する制度の実施等を通じて、充実した企業情報の開示・提供を促す。」
関連報道。
新型コロナ対応に重点 金融行政方針(SankeiBiz)
「金融機関による企業の資金繰りや経営支援の状況をきめ細かく確認し、事業再生や経済改善、債務整理などの支援にも対応する。書面や押印、対面を前提とした業界慣行を見直して金融業務のデジタル化を推進。金融庁が金融機関から受け付ける申請などもオンラインで受け付けられるようにする。」
「日本への国際金融センターの設置を目指し、海外の金融機関を受け入れを促進するための許認可手続きの英語化や簡素化、税制などの見直しを含めた環境整備を進める。」
金融行政、英語化推進 コロナ対応で規制緩和―金融庁が方針発表(時事)
国際金融機能の確立やコロナ対応、金融庁改革を3本柱に-行政方針(ブルームバーグ)
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