会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

英国企業役員の報酬1位はオンライン・ギャンブル会社の経営者(economiaより)

Denise Coates is UK's top paid executive

昨年、英国企業の役員で最も多くの報酬を受け取っていたのは、 Bet365というオンラインギャンブルの会社の経営者Denise Coates氏だったという記事。報酬が199百万ポンド、配当が18百万ポンドの計217百万ポンドでした。過去最大の報酬額とのことです。

The founder and head of gambling company Bet365 paid herself a total of £217m last year
Coates earned £199m in salary and collected £18m in dividend payments. She is now the best-paid executive in British corporate history.

この会社は、昨年、ギャンブル掛け金470億ポンドを集めて、5億25百万ポンドの利益を稼ぎました。

The business made a profit of £525m last year on the back of a record £47bn places on bets.

彼女は、実家の私営馬券売り場(betting shop)チェーンで、accountantとして訓練を受けました。父親に、このbetting shopの経営を自分に任せるよう頼んで、50店舗にまで拡大しました。2000年に会社の未来はオンラインにあると判断して、eBayでBet365というドメインネームを購入したのだそうです。

She trained as an accountant within her family’s chain of Midlands betting shops. Coates asked her father Peter to let her run the chain and expanded it to almost 50 stores. In 2000 she decided the future was online and mortgaged the shops for a loan, buying the Bet365 domain name for $25,000 on eBay.

立志伝中の人物のようです。しかし、一方で、現在の英国はギャンブル中毒にかかっているという話も読んだことがあります。

イギリスで知らない間に広がっていたギャンブル汚染(Newsweek)

「9月6日、英労働党はギャンブル広告に対する規制を求めた。プレミアリーグ全20チーム中、なんと9チームものユニフォームにスポンサーのギャンブル企業のロゴが入っている。子供たちはそうしたロゴ入りユニフォームを目にするだけでなく、レプリカユニフォームを身につけもする。

ほんの数週間前には(アーセナル対ストーク・シティの試合が行われたときだ)、ストーク・シティのホームスタジアムが、ギャンブルサイトの名前にちなんで「bet365スタジアム」と名付けられていたことに気付いた。卑しいし品位に欠けるし、普通にスポンサー企業の名前を付けるよりずっとひどいし、スポーツ発祥の古代ギリシャの精神からもかけ離れているように感じられた。」

「先日の夜、僕はテレビを見ながらうたた寝をしてしまった。ふと目を覚ますとITV(イギリスで史上最も人気のある放送局)がギャンブル「番組(らしきもの)」を放送していた。ルーレットが回り、テクノミュージックが流れ、賭け終了のカウントダウンが始まり、電話番号と、タックス・ヘイブン(租税回避地)のチャネル諸島の企業名が流れる......。僕は見るに堪えなかったが、でもその気になれば、夜中の1時に自宅から、90秒かそこらごとに回されるルーレットに賭けることだってできるわけだ。通話はもちろん無料。番組は何時間も続いていた。」

「FOBTという言葉をよく耳にする。「固定オッズ発売端末(Fixed Odds Betting Terminals)」というこの機械は、損すること請け合いのゲーム機だ。最低掛け金は1ポンドだが、1スピンごとにその何倍も賭けることができる。ただ1つ確かなことは、定期的に利用すれば絶対に胴元が勝つ仕組みになっている、ということ。依存性が高いため、この機械はギャンブルの「クラック・コカイン」だと批判されている。いつでも手軽にできて、一度で数百ポンドが吹っ飛ぶこともある。

僕が最近見たテレビドラマ『ブロークン』は、女性がこの「悪癖」につぎ込むために勤め先から巨額のカネを横領した挙げ句、自殺するという内容だった。それを見たときはちょっと現実離れした話だと思ったけれど、そのすぐ後に、ロンドンの会計士がギャンブル代欲しさに勤務先から35万ポンドを横領し、(驚いたことに)実刑を免れたという記事が新聞に載った。」
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