LIXILグループで、中国で事業を行っている子会社の破産手続きに伴い、最大で約660億円の損失が発生するという記事。(見出しでは「中国子会社」となっていますが、形式的にはドイツの会社のようです。)
「損失の内訳は破産手続きに入った子会社、ジョウユウの株式の帳簿上の価値で約300億円、同子会社の借入金に対する債務保証で最大330億円。そのほかに子会社に対する調査費用などを計上する。」
「今回、破産手続きに入った子会社は14年に買収した独水栓金具大手のグローエ傘下で、4月に財務諸表に誤りがある疑いがあるとして調査を始めていた。株主資本が財務諸表に計上されている額よりも大幅に減少していたとして破産手続きに入った。」
LIXILグの藤森社長「我々の財務基盤は強固だ」 中国子会社の破産で(日経)
「ジョウユウは14年にLIXILグが傘下に収めた独水栓金具大手グローエの子会社。ジョウユウが破産手続きに入った理由について藤森社長は、「帳簿外の巨額の債務が発生していた」と話した。ジョウユウの社内調査を実施した結果、「ジョウユウの創業者が不正な会計処理を行い、財務諸表を改ざんしていた」という。
藤森社長はジョウユウの調査について「LIXILグの業績に影響する部分については終了した」と強調し、今回の発表内容以上の損失が発生する可能性は少ないとの見方を示した。」
海外子会社の破産手続開始申立に伴う損失の見込額及び業績予想の修正に関するお知らせ(PDFファイル)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1f/62/0013596fb81f81d53301083bc99eedd5.png)
(プレスリリースより)
1番目の当初取得分の損失は、取得が行われた2014年3月期の損失としています。問題の子会社はその時点では上場しており、株価もあるわけですから、株式が無価値だったわけではないでしょう。しかし、持分法適用会社として、時価ではなく、実質価額が優先されるということでしょうか。
3番目の調査費用については、あやしいということがわかったのが4月以降であれば、調査が実際に行われたのも4月以降(当期)でしょうから、前期ではなく当期の費用のようにも思われます。
4番目の追加取得分の損失については、4月1日の追加取得なので、これも前期ではなく当期の損失と考えることもできそうですが、前期末時点で、取得するという契約が存在したのであれば、前期で処理するという考え方もあるのかもしれません。
ほぼ確定した損失が以上の約330億円ですが、当期(2016年3月期)に計上予定のものとして、Joyou の子会社の債務に関して債務保証による損失(最大約330億円)があります。
これは、3月までに保証をしていたのであれば、当然前期(2015年3月期)の損失としなければならないので、4月以降の保証分といことになります。保証を差し入れて、1か月ちょっとで破綻してしまったことになり、詳しい経緯を知りたいところです。(もし、3月までに、4月になったら債務保証するという約束をしていた場合には、前期の損失となるはず)
(債務保証による損失見込みが当初公表された約 160 億円から、ほぼ倍の330億円になった理由も書かれていますが、よく理解できませんでした。)
当社業績への Joyou AG の影響について(PDFファイル)
社長のコメントより
「・・・中国には、INAX、グローエ、およびアメリカンスタンダードなど、当社の他のブランドが存在し優れた業績をあげています。」
それだったら、なぜこの会社を買ったのかという話になりますが・・・。
コラム:「日本株式会社」の買収攻勢、中国の壁に直面(ロイター)
「ドイツ上場の中国企業では不祥事が相次いでおり、ジョウユウは最新の事例となった。フランクフルトの監督当局、法律専門家、会計士、バンカーらは中国企業家の関わる事業に不審な点がないか、もっと神経を尖らす必要がある。 」
当サイトの関連記事(5月21日)
このときはまだ「ドイツ子会社」と報じられていました。
当サイトの関連記事(江守グループの破たんについて)
この会社も中国がらみです。