東京証券取引所と東京工業品取引所が、温室効果ガスの排出量取引市場を創設するため、準備会社を合弁で設立するという記事。
「取引対象として上場するのは、各企業に割り当てられる排出枠の余剰分である国内排出枠のほか、海外での新技術導入や水力発電などによって排出量を削減したと国連が認定することで生じる国際的な排出枠を想定している。将来の受け渡し金額を事前に決める先物取引などの派生商品も、取引対象とする意向だ。」
(個人的にはまだよく仕組みを理解していないのですが)取引対象となる余剰分は、排出枠から排出量を差し引いた量ですから、取引対象が本当に存在するのかどうかは、排出量の数値が正しいかどうかによることになります。
企業が自己申告した数値では信用できないとすると、第三者に検証させようという発想が出てきます。CO2の数量は物理的な数値ですから、会計士が関わることができるのかという大きな問題はあるものの、数字の検証という点では財務数値の保証と変わらないという考え方からか、会計士協会でも検証業務の論点整理を出して、業務拡大を狙っています。もちろん、会計士は物理学、化学、工学などの知識はありませんから、監査の枠組みを流用するにすぎず、他の専門家も利用しながら、業務を実施するのでしょう。
ちなみに、EUの排出量取引制度で要求されている保証水準は、(財務諸表監査と同じ)合理的保証だそうです。
監査・保証実務委員会研究報告第21号「二酸化炭素排出量の検証業務に関する論点の整理」の公表について
(この研究報告より)
「排出量取引制度」とは、企業等に排出枠を配分し、企業等の間で相互に排出枠を売買できることとし、期末に実際排出量と同量以上の排出枠を保有し、かつ償却する義務を負う制度をいう。
「排出枠」とは、排出量取引制度が導入された場合、制度の対象となる事業者が排出する二酸化炭素に換算された温室効果ガスの排出可能量をいう。
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