住友不動産が2003年に販売したマンションで、建物を支える杭が規定に反して強固な地盤に到達していないことがわかったという記事。
「問題になっているのは、同区宮ケ谷の「パークスクエア三ツ沢公園」。6棟約260戸のマンションで、熊谷組が施工し、住友不動産が販売した。」
「住民の要請で住友側はボーリング調査を実施。4月になって、約60戸が入る1棟の杭の長さが不足し、強固な地盤部分まで到達していない可能性が高いと判明した。体感はできないが、この棟が部分的に沈下したり傾いたりしているという。
建築基準法施行令はマンションなどの大きな建築物について、杭を「支持層」と呼ばれる強固な地盤まで打ち込んで固定するよう定めている。杭の長さが不足すると重みを支えられず、建物が傾いたり沈下したりする可能性があるほか、地震に対する安全性が低下する恐れがあるという。」
「住友不動産は「売り主の責任を痛感している。修繕や建て替え、買い取りなどあらゆる手段を検討する」と説明。熊谷組は「コメントできない」としている。」
会計的には、後発事象の問題といえますが、後発事象の2つのタイプのどちらかといえば、修正後発事象ということになるでしょう。住友不動産が、(本来は2014年3月期において)建替えあるいは修繕等の費用を引当てし、そのうち、施工した会社や設計会社などが負担すべき部分がはっきりすれば、請求分を損失のマイナスまたは特別利益にするということになります。4月にわかっていたということならなおさらです。
ただし、製品保証引当金がすでに計上されていて、それでカバーできるのであれば、見積りの範囲内という考え方もあるでしょうし、また、後発事象に関しては、会計士協会の指針で例外が認められる場合もあります。
ところで、2003年に発売したということは、熊谷組に発注したのは2000年か2001年ごろと思われます。準大手ゼネコンの経営危機が社会的な問題となっていた時期でしたが、熊谷組を支援していた住友銀行の要請か何かで、住友不動産が協力したということでしょうか。
【建設】上場ゼネコン初の倒産から10年―建設業の構造改革は進んだのか?(2007-07-18)(未来計画新聞)
(補足)
横浜の傾いたマンション 熊谷組「想定できなかった」(朝日)
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