“高度人材大移動の時代”到来の衝撃
シンガポールが、人口減少で不足する労働力を、外国からの「高度人材」で補おうとしているという記事。会計士などサムライ業についてもふれています。
「「実際、エース級のビジネスパーソンが世界中からシンガポールに集まってきています。アジア、米国、ヨーロッパ――日本も例外ではありません」。
こう明かすのは、現地に赴任中の三井住友銀行 シニア・グローバル・マーケッツ・アナリスト 岡川聡さん。
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「弁護士、会計士、税理士など、サムライ業の間では『日本にいてはいけない』が合言葉。シンガポールはアジアにおける交通、金融のハブ(ネットワークの中心)ですが、今や法務、財務の世界でもハブ化しつつある。アジアで最先端の法務、財務に触れ、キャリア形成をしなければ未来がないことを、彼らは知っているのです。
その他のホワイトカラーたちも同じ思いなのでは。ここには日本では得られない英語情報やビジネスチャンス、リスクマネー(危険も大きいが、成功すれば高収益が得られる投資)があふれています。優秀な人材がネットワークを作り、ダイナミックなビジネスがどんどん展開されていく――。スーパー高度人材がシンガポールを目指すのは、『まさに今、ここにスーパー高度人材が集まっているから』なのです」」
そんな「合言葉」は聞いたことがありませんが、東京がアジアの法務・財務のハブになるということは見込めない以上、そういう動きがあっても不思議ではありません。
世界的に見れば、医師や看護師の国境を越えた就職は一般的になっているようです。会計士の場合は、医師・看護師のようなどの国でも通用する能力を誰でも持っているわけではないので、難しい面はあるのでしょうが、しかるべき経験を積み、ある程度の語学力があれば、海外でのキャリアも不可能ではないでしょう。(だからといってシンガポールに住み続けたい人がどれだけいるかは疑問ですが)
また、日本の会計士の海外進出だけでなく、TPPによって、日本への海外会計士・税理士の大量流入もあるうるかもしれません。例えば、経理業務の海外アウトソーシングが拡大し高度化すれば、それに付随する会計士・税理士業務も海外の会計士がやるというふうになる可能性はあります。
(補足)
シンガポールについてはこういうことを書いている本があります。
「モルガン・スタンレーのアジア部門の花形エコノミスト、アンディ・シエは、二〇〇六年に社内電子メールにこう書いた。「シンガポールの成功は、主として腐敗したインドネシアのビジネスマンや政府高官のためのマネーロンダリング・センターになったことで達成された。経済を維持するために、シンガポールは今、中国から汚職マネーを引き寄せようとカジノの建設を進めている」(ニコラス・シャクソン著「タックスヘイブンの闇」168ページ)
タックスヘイブンの闇 世界の富は盗まれている! ニコラス・シャクソン 藤井清美 by G-Tools |