米国系多国籍企業の税金をめぐる動向をまとめた記事。特に欧州で話題になっているようです。
「Bloombergでは、ヤフーやデルがオランダに登記したペーパーカンパニーを使って節税に励んでいることに触れた記事のなかで、「オランダ議会でも『ダッチ・サンドウィッチ』と呼ばれるような手法をこのまま放置しておくのは『国の評判に関わる』という声があがっている」「欧州委員会が12月、ハイパー節税策を通じた米国企業などの税金逃れに対する『宣戦布告』を出し、EU加盟国に『タックスヘイブン』のブラックリスト作成づくりや防止策の導入を進言した」などと記している。
この記事には「EU諸国が取りっぱぐれている税金はあわせて年間1兆ユーロにもなる」「EU27カ国の財政赤字は2012年第2四半期だけで5195億ユーロにのぼった」などともある(註6)。」
「英国では今月に入って老舗経済紙、Financial Times(FT)がこの話題を積極的に扱っている。
2月8日(英国時間)にはFT Magazineの特集記事として、アマゾンが英国中部の元炭鉱町ルグリーに設けた物流センターのひどい状況を扱った調査報道を掲載した(註4)。」
「「英国に税金も落とさなければ、安定した雇用も生み出さず、地域経済活性化にもたいして貢献していない米国企業」の代表格という描かれ方で、「誰かが揺さぶりをかけているんだろうか」などと考えてもしまう。」
税金とは直接関係ありませんが、このアマゾンの物流センターでは日本人が「活躍」しているそうです(「現場」という言葉が英語になっています)。
「こうした極度の効率化を実現したのは日本人――トヨタの工場からきた「カイゼンのプロ」という記述があり、ルグリー配送センターにも「シックス・シグマ」の黒帯をもつ管理者などがいて、日々「現場視察」(genba walk)を繰り返しているという。」
「今週に入ってからは「議会がテクノロジー系を中心とする米企業各社の税務に関する調査を進めようとしている」「ハイパー節税策を利用してきちんと税金を払ってこなかった企業を、政府機関による資材調達から事実上閉め出すとの方針を財務担当相が発表する」などといった話も出ている。これが仮に実施されると「マイクロソフト、デル、シマンテックなどが影響を受けそうだ」ともある。」
「さらに12日にはOECD(経済協力開発機構)でも今週末のG20開催を前に、こうした大規模な税金逃れを封じ込める対策を打つよう参加各国に呼びかける提言を発表した。」
Base Erosion and Profit Shifting(OECD)
この報告書は先日当サイトで取り上げたG20のコミュニケでもふれています。
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