見出し画像

紙々是好日 紙漉き職人のブログ

小学校の卒業証書は手漉き和紙で

岐阜県美濃市の紙漉きの里は、年々学校が減り、とうとう小学校一校のみになりました。

この小学校には本格的な紙漉き専用の部屋があり、紙漉き舟や簀桁は勿論、圧搾台まであります。下は排水も考えられていて水がたまらない。いいなあ、私もこういう工房が欲しい。。

各学年!1回から2回紙漉きの授業があり、手すき組合員が手分けして指導に行きます。

一年生はハガキ作り。
まだ小さくて簀桁が持てないので、枠にひしゃくで紙料を流し込み作ります。

二年生から流し漉き
でもまだまだ力がなくて簀桁を持てないし、小さいので、一緒に漉きます。

三年生は少し大きくなり、少し力がついてきたので、横から簀桁を支えながら紙漉き。流れを覚えてもらいます。

四年生は和紙について学ぶ授業もあり、失敗しても自分の力で漉けるよう指導します。

五年生は大分経験値もあがり、紙漉きだけでなく、紙をたねて布を被せるところまで。全部自分で出来るように。

六年生は集大成。今までの経験をいかして卒業証書を造ります。この卒業証書は特別。
何が特別かって、漉き流し、引っかけ、流し込み、漉き合わせと紙漉きの技術がふんだんに、ここぞとばかりに、盛り沢山使われているのです。

和紙の里会館でも出来ない技術ばかり。









模様は山と川と片栗の花。
ここまで手の込んだ卒業証書は他にないでしょう。指導する側も力が入ります。

何回漉いていても、やはり簡単ではない紙漉き。慣れてくると「裏水」をしてしまうのです。これは、簀の裏(下)から水が入ることで、表面の繊維が浮いてしまうこと。
簀桁を水に入れるだけと思うなかれ、入れる角度、スピード、水の量、方向など複雑なのです。
裏水がついたらやり直し。
良い紙で卒業してほしいし、
地元にはこんな伝統工芸があったんだと覚えていてほしい。
そして大人になって、自分の育った町、伝統を誇りに思って貰えると良いな。






名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「日記」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事