が!10月になり緊急事態宣言が解除されてから一気に動き出し、ワークショップのオファーを次々といただき、毎月どこかで開催させていただくという嬉しい悲鳴。
さらに、紙の注文もドドドっと列をなしてきてくれて、嬉しい悲鳴です。
紙の注文、というと紙を納品するだけでしょ?と思われがちですが、それは在庫を多く抱えられる問屋さんや紙屋さん。
和紙職人は「紙作り」が仕事です。
そんな紙を使ったワークショップでは、勿論使う紙の全てが手漉き和紙。
紙を漉くワークショップじゃないの?
いえいえ、私は
「手漉き和紙を使う」にこだわってます。
美濃市にあります美濃和紙の里会館。
移住して直ぐの頃は週二日アルバイトとして働いていました。
ここは紙すきになりたいと移住してきた多くの職人見習い達がアルバイトをして、体験コーナーで紙すき指導をするのですが、何故か私は事務所仕事に就きました。
電話を受けたり展示の準備をしたり、事務作業をし、受付や体験コーナーが忙しくなれば手伝いにいくという、つまり何でも屋さんです。
ですが、紙すき職人になりたいと来ている私は、皆さんが紙を何に使うのか興味津々。
体験コーナーでは、
落水紙、漉き込み、ため漉き、揉み紙など様々な技法を用いて好きな和紙を作ることが出来ます。
小さな簀桁(スケタ)は職人が使う1/4サイズですが、汲んだ水は結構重く、それを動かすということに慣れていないと身体中に力が入りまくりガチガチ、大変な思いをして一枚を作るのです。出来上がった紙をみて、皆さんとても嬉しそう。
でも、帰ってふと思うのでしょう
「和紙をどうしたらいい?」よく聞かれます。
絵を描いたり物作りが好きな方ばかりではないので、何かしようかと思っても何をすればいいか?やり方も道具もない。揃えるにはハードルが高いのです。
和紙って作って終わりじゃない。飾るモノでもない。使われてこそ価値があるものだと思っているので、和紙を使う楽しさを伝えようとワークショップを始めました。
やっぱり手漉和紙ってとても高いので、明確な目的がないと購入しないし、使うこともないんですよね。
でも、本物を使ってみて欲しい。
軽さ、強さ、柔らかさ。
じかに触って作ることで違いを感じて欲しいなと思うのです。
最初に始めたのは薔薇作り。
これは石原英和工房さんの紙を使っています。
色の綺麗さ、柔らかさ、薄さが絶妙です。
自分の紙じゃないの?とお思いでしょうが、そこはこだわりません。何故なら和紙が好きだから。用途によって適切な和紙を使うのは大事なこと。そして、昔からある技法は別ですが、よその工房独自の技法を真似をしたりしない。
それは、いまや数える程にまで減ってしまった工房の潰し合いになるからです。
職人がいる、腕がある、種類がある、ということが、産地としての強さ、厚みになるのだと思っています。職人達の潰し合い?それはもう古い。代々漉いて技術を繫いでいってない時代、助け合いが大事だと考えています。
これからの伝統工芸の在り方も大きく変わっていってます。
話がそれましたが、薔薇に使う紙は五色のパステルカラーがグラデーションになっている、とても発色の綺麗な紙。
色使いや花びらの作り方、付け方で個性が出てきます。小さいお子さんも参加されますが、出来るだけ自分で決めて自分で作って貰うようにしています。悩んだり失敗することは大事なことで、やってみてダメだったら、違うことを試してみる、そんなことの繰り返しで色んなことの経験値が増えていったら面白いじゃない。
でも、薔薇作りと謳っている以上、薔薇に完成させなければいけない。
自由に作って良いよ、出来なくても楽しければ良いじゃない、てことではないのです。
これはアート作家ではなく、工芸の職人としてワークショップをする上で譲れない所です。
手漉き和紙を楽しんで欲しい、
そんなことを思い、開催しています。