ミカ書 解説
キリストがベツレヘムに生まれる
預言です。
○
ミカ書の著者は預言者ミカです。
(ミカ1:1)。
ミカは,エルサレムの西南にある
モレシテという村の農民です。
ミカ書が書かれたのは
紀元前735-700年の間だと
言われています。
ミカは南王国ユダで,ヨタム
アハズ,ヒゼキヤ王たちの
治世に預言しました。
「ミカ」という名前は,
「だれがヤーウェー(神)の
ようであろうか」
という意味です。
迫りくるイスラエルと
ユダの滅亡と,
ベツレヘムに生まれる
メシヤ(キリスト)の
預言をします。
ミカ書には裁きと希望が
複雑に入り混じったメッセージが
書かれています。
一方ではイスラエルの社会的悪,
堕落した指導者達と
偶像崇拝に対する
裁きが預言されています。
この裁きの最終段階は
サマリヤとエルサレム
の破壊でした。
もう一方では,
国の復興だけでなく,
イスラエルとエルサレム
が変えられて,
高く掲げられるという
希望の預言も記録されています。
希望と滅びの預言は
矛盾しているのではなく,
裁きの後にこの復興と変化が
起きるのです。
○
(ミカ4:1)
主の家の山は
もろもろの山のかしらとして
堅く立てられ、
もろもろの峰よりも高くあげられ、
もろもろの民はこれに流れくる。」
「末の日」(終末のとき)に,
主の家の山(シオン)が
世界の中心になるとの預言です。
○
終わりの日
終わりの日の預言を次のようにします。
ニューヨークの国連本部に
掲げられています。
(ミカ4:8b)
「彼らはつるぎを打ちかえて,
すきとし,
そのやりを打ちかえて,
かまとし,
国は国にむかってつるぎをあげず,
再び戦いのことを学ばない。」
○
残りの民をいたわる
(ミカ4:6,7)
「その日,
──主の御告げ──
わたしは足のなえた者を集め,
追いやられた者,
また,
わたしが苦しめた者を寄せ集める。
わたしは足のなえた者を,
残りの者とし,
遠くへ移された者を,
強い国民とする。
主はシオンの山で,
今よりとこしえまで,
彼らの王となる。」
主であるイエス・キリストの
来臨の預言です。
全イスラエルの回復の時が
来ることを預言します。
神は,ご自分の民を
捨てて置くことはされません。
「追いやられた者」
「離散した人々」,
「わたしが苦しめた者」
「罪をさばかれ捕囚となった人々」
を「寄せ集める」と言います。
民は弱く,
自力では動くことが出来ません。
しかし,神は彼らを「残りの者」,
主に忠実な者とし,
「強い国民」とされます。
主が,
永遠の王となることを預言します。
「シオン」は一般的には,
エルサレムを指しますが,
ここでは終末にあらわれる,
エルサレムである神の国を
指しています。
(イザヤ1:27,2:3等)
主が,
もう一度来られることによって,
この言葉は成就します。
○
ダビデの生まれた町
(ミカ5:2 新改訳)
「ベツレヘム・エフラテよ。
あなたはユダの氏族の中で
最も小さいものだが,
あなたのうちから,
わたしのために,
イスラエルの支配者になる
者が出る。
その出ることは,
昔から,
永遠の昔からの定めである。」
ミカの預言した時代は,
アッシリヤが,
北王国を滅ぼそうとしていました。
このとき,
ミカは,国難を救う支配者が
ダビデが生まれた町ベツレヘムから
出ると預言します。
神は,捕囚となった民を
再び寄せ集めて,
ユダの地に
帰してくれると言います。
そして,
ベツレヘムで全世界の王が
誕生するというものです。
イエス・キリストの誕生は
永遠の昔から
決まっていたというのです。
新約聖書において,
東方の博士がエルサレムに来て,
キリストの生まれる
場所を訪ねたとき,
ユダヤの学者が
ミカ書のこの箇所を引用しました。
(マタイ2:4-6)
「そこで,王は,
民の祭司長たち,
学者たちをみな集めて,
キリストはどこで生まれるのかと
問いただした。
彼らは王に言った。
ユダヤのベツレヘムです。
預言者によって
こう書かれているからです。
『ユダの地,ベツレヘム。
あなたは
ユダを治める者たちの中で,
決して一番小さくはない。
わたしの民イスラエルを
治める支配者が,
あなたから出るのだから。』」
「静かに眠れる」(聖歌124)
1.
静かに眠れる
小さき村
ベツレヘムよ今
汝(なが)厩(うまや)に
起これることを
汝(なれ)は知らず
御民(みたみ)の望みし
主のみ在れぞ
2.
静けき真夜中
イエスキリスト
現れ給(たま)いぬ
誰(たれ)知らぬ間
ただ朝の星
神を称(たと)う
天(あめ)には御栄(みさか)え
地に平和と
3.
奇(くす)しき賜物(たまもの)
神の愛は
静かに地に降る
露(つゆ)のごとし
今なおイエスは
宿としたもう
いとも謙(へりくだ)る
汝(なが)心を
4.
神の御子イエスよ
いざ下りて
汚(けが)れし心を
汝(なが)御座(みざ)とし
永久(とこしえ)までも
座(ざ)したまえや
○
神と共に歩むこと
(ミカ6:8) 口語訳
「人よ,
彼はさきによい事のなんであるかを
あなたに告げられた。
主のあなたに求められることは,
ただ公義をおこない,
いつくしみを愛し,
へりくだってあなたの神と共に
歩むことではないか。」
民は,いけにえによって
神の信任を得ようとしました。
しかし,主がすべての人に
変りなく求めているのは,
「神とともに歩むこと」です。
具体的には
「公義を行ない,誠実を愛し,
へりくだって」生きることでした。
神が人に求められるものは,
いけにえではなく,
謙虚に神と人とに
仕えることだといいます。
(詩編51:16,17)
「たとい私がささげても,
まことに,
あなたはいけにえを喜ばれません。
全焼のいけにえを,望まれません。
神へのいけにえは,
砕かれた霊。
砕かれた,悔いた心。
神よ。
あなたは,
それをさげすまれません。」
○
いつくしみを喜ばれる
(ミカ7:18)
「あなたのような神が,
ほかにあるでしょうか。
あなたは、咎を赦し,
ご自分のものである
残りの者のために,
そむきの罪を見過ごされ,
怒りをいつまでも持ち続けず,
いつくしみを喜ばれるからです。」
ミカは預言を終えるに当り,
神への感謝と賛美を
高らかに歌います。
「あなたのような神」は,
「咎を赦し」
「そむきの罪を見過ごされ」
「いつくしみを喜ばれる」
方であります。
恵みの神への
力強い信仰告白であります。
十字架のもとぞ いとやすけき
神の義と愛の あえるところ,
あらしふく時の いわおのかげ,
荒野(あれの)のなかなる
2
十字架のうえに われはあおぐ,
わがため悩める 神の御子を。
妙にもとうとき かみの愛よ,
底(そこ)いも知られぬ
3
十字架のかげに われは立ちて,
み顔のひかりを たえず求めん
この世のものみな 消ゆるときも
くすしく輝く そのひかりを。
○
2018-08-26