『覗き眼鏡の口上歌』(武男と浪子⑤)

「武男と浪子を追って・5」

『覗き眼鏡の口上歌』河本正義/編 (久山社)

今で言えばニュース三面記事か。世の中の人の争いや愛憎劇を歌にしてある。これに軽妙なリズムをつけて広めていったのですね。それぞれ台本がある、おはなしの全国伝播です。伝承の段階で変化していったのだと思います。
 わらべうたに登場した武男と浪子さんは、小説や舞台の他に、のぞきからくりの中にもいました。からくりから子どもたちが引っ張り出した歌詞なのかもしれないという(断定してはいけないのかな)気がします。 高齢の方で、そういった経緯を知っている方もおられるかも知れません。

 昔の子どもは、こんなすごい歌詞でも楽しんで歌っていたんですね。ここ数十年間の間に、「よろしくない」ということで排除されていったものだったのでしょう。今の子どもはもう歌うことはないのでしょうね。そういう負の事実はテレビニュースや週刊誌で子どもの耳に入るものね。「歌うの、やめとけば」と私も言うかもしれません。


1 ほととぎす(不如帰)P92

「武男」「なみ子」「白きハンカチ」
「ねえあなた、はやく凱旋あそばせと」→「早く帰ってちょうだいな」
「二度と会えない汽車の窓」 
が、わらべうたの「一番はじめはいちのみや~」の後半部分と同じです。

2 日独戦争 P39

歌詞の中に 「談判ここにはれつして」という部分があり、思い出しました。

「一番はじめはいちのみや~」と同じメロディで、
「いちれつらんばんはれつして 日露戦争はじまった
すぐに逃げるはロシアの兵、死ぬまでつくすは日本兵」という歌があります。
つまり、このメロディは「いちばんはじめは」「いちかけにかけ」「いちれつらんばん」と、3通りの歌詞で歌われていたということです。

イチレツ、は何だかわからないけど、ランバンは「談判」、ハレツシテはそのまま「はれつして」に似ていないだろうか。


3 継子いじめの犯罪 P66

 これがいわゆる「幽霊のまま子いじめ」でしょう。子どもが2人いるところが巻の伝承では、1人に、変化している。
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