ボランティア入門講座レジュメに対する意見② 読み継がれている本は子どもに支持されているか
読み継がれた本を大切に、という語句は、こういったレジュメに必ず出てきます。また、「子どもに支持されたから読み継がれたのだ」という説明もあります。実は、私はこれに疑問を持っていました。
2014年の図書館入門講座レジュメには、「読み継がれた絵本」などというタイトルで、初版出版年だけが書かれたブックリストが添付されていました。
これは、よく考えると、変なブックリストです。ピックアップした古い本が全て読み継がれているかのようです。
ほんとうにそうだろうか、と根拠なり、増刷回数などの表示を探すのですが、書かれていないです。また、「〇〇の調査から」などと、調査資料名も書かれていないのです。
たびたび思うのは、どうして図書館は「出版年」でなく「増刷回数」という物差しを使わないのか、ということ。増刷した年と回数が対応しているようなリストがあってはじめて読み継がれているということが分かるのではないでしょうか。
付け加えて、読み継がれることの実態にも、いろいろあると思うのです。例えば
・親が懐かしさのあまり自分の子どもに買い与える場合。親が懐かしく思うもんだから読み聞かせる声も温かくなり、子どもにも受け入れられやすいが、子ども自身が内容を支持したわけではない。
・親が、絵本はどれがいいか分からないので、とりあえずブックリストにあるものを買う。その結果 地味に売れ続けて増刷される。これが延々と続いているだけかもしれないのです。これも、子どもに支持されたのではなく、大人が支持した結果です。
もちろん、リストのなかには今の子どもにも評判のいい本もあるでしょう。そういうものと、実体が伴わない絵本とをきっちり区別したリストを作るべきではないでしょうか。
そして、大人目線でなく、子どもの目線で支持を集めるノンタンやきむらゆういちの絵本なども、リストに入れてほしいものです。これらもロングセラーで読み継がれていると思うので。