図書館・語り・紙芝居・集団相手の絵本よみ・ボランティアなどについて書きます。
絵解きボランティア
紙芝居ボランティア(ページ4)(選ぶ)
2005-10-28 / 論文
5 紙芝居を選ぶ
① ネタ帳に記録する
演じてはじめて全体の様子が分かり作品として完結するので、他人に演じてもらい評価します。
種類や作者名や自分で感じたことなど、内容をノートに書きます。図書館ではタイトルの1文字でも違うとコンピューターで探すことができず、図書館司書も紙芝居の教育を受けていず、文献も少なく、自分の記録を見ながらの作業が重要なのです。
自分で主体的に作品を指定していく習慣を持ちましょう。所蔵はあるが借り出されていることも多いので、棚の中に今あるものから選ぼうとするのは売れ残り食材でお客様をもてなすことと同じで、いろいろな分野の作品を見て少しでも面白いものを探そうとする努力が必要です。
たくさん見ていくと作品を区別できるようになりますが、ささいなことにこだわって差別にならないよう気をつけましょう。
② 公共の場所での感覚
基本的には公共のモラルという制限があり、手作り紙芝居には多くの人の意見を聞く必要があると思います。自分が好きである、聞き手が楽しめる、その場にいない人たちを含む地域の文化にとってどうか、という三角を想像し、そのバランスをとっていきます。いつでも完璧にできるわけはなく失敗もありますが、心のどこかにそれがあれば周囲の信用を得ることができます。結局良し悪しは受ける側が決めることですから、力まずいろいろ付け加えましょう。
③ メッセージ性と物語性を比べる
おはなしには大なり小なりメッセージが込められて当たり前ですが、内容を天秤にかけて筋立てがおもしろいと感じるものを大切にしたいと思います。ただ、作品から受ける印象は人それぞれで意見を無理に合わせる必要はないので、会にはいろいろな人が参加し流動性をもたせ風通しを良くし、一つの作品に必要以上に重きをおかない状態が良いと思います。
高齢者の集まりへはあるメッセージは皆の共通の思いになることが多く刺激もまた必要とされるようなので、メッセージ性の強いものもいいかもしれません。また行事や物事の起源、科学もの、簡単なしつけものは教育臭が少なくプログラムに入れると目先が変わるのでおすすめです。
④ 子どもに対して
未就園児0~3歳くらいのお子さんには、刺激のあるものは避けるのがマナーで、幼い子に与えるカレーは、辛すぎず砂糖どっさりでもなくといった配慮をするのと同じです。しっかり線引きできませんが、それ以上の年齢の子どもには世の不思議を枠の中に覗き見る楽しみを届けたいものです。しかし現実問題、参加する子どもの範囲が分からない場合、いろいろな種類の紙芝居を揃えることで対応することになります。
⑤ 名作紙芝居
名作紙芝居とは宮沢賢治やアンデルセンなど著名な作者の原作を紙芝居にしたものです。それらは原作を脚本に作り変えるので、文体(語り口)はかなり変わっていますし、紙芝居の絵が人それぞれの心の中の絵とかけ離れているかもしれません。また、原作の内容に創作を加えている紙芝居が現にある事実を知り、原作とは別物という視点で語りましょう。大人の演じ手がその紙芝居を好きだという気持ちは大切にするべきですが、ブランド品の偽物を自慢しているようなことにならないよう。子どもが名作紙芝居を演じるのは、その作品を知るきっかけになり、登場人物に気持ちをのせて語れば理解も深まります。原作は短篇であることが多く、原作をセットにすると良いと思います。
⑥ 昔話紙芝居
昔話は、庶民が、書かれた物や口伝えでバトンを渡してきたという名作とは違った歴史があり、語り手は誰でもいつでも昔話の再話者です。ハレの日に人が語ってくれるということも含めた庶民の楽しみでした。時代が変わり著作権の世の中になりましたが、紙芝居は自由に語り変えても良い道具としてありますので、活用したいと思います。
また、鮮やかに変化する魔法の場面のように様式的な面白さを良く伝えることができます。たった2枚の絵の動きが聞き手の想像力を掘り起こし、動画のように見えてくるからです。今の子どもに分かりにくい場面も絵で描かれ、「いつかどこか知らないけれど」という昔話の特質のようなものに照らせば、場面を画家に限定してもらった絵で語ることも納得できるように思います。
脚本は、名作の分野と同じように大胆に書き変えが行われていますので、大勢の人々が昔話研究に取り組む姿勢に敬意を持ち、気軽に「これは昔話」と聞き手に向かって口にするのは避けましょう。一つの方法として、本筋や人物の動きがあっさり語られるよう文を変えることもできます。ただ、昔話は地域独自の付け加えが楽しくもあり、どこまでが本筋か分からない部分もあり、特徴は学べてもおはなしの等級分けは不可能なのではないでしょうか。
⑦ 今の時代に合うか、合わせる必要があるか
紙芝居は昔の感覚で彩られた作品がそのまま残っていたり、逆に新作に実演者の感覚が追いつかない場合もあります。定期刊行やセット販売で評価がまちまちで、保育のためや子ども自身が演じるためのものもあり、それは「子ども文化」としての価値があります。事前の検討をし、演じ手は自分の感性を大切にして選ぶ、そして「自分はこう思う」と意見を交わす、それを繰り返していきましょう。昔話は差別的と思われる部分も多いですが、昔話か創作か見極めたうえで昔話原作なら気にする必要はなく、つまり自分の納得できる作品をやることが大切です。
⑧ レトロはどうするか
特に高齢者施設では街頭紙芝居の要望が高いですが、それらは博物館に収蔵され、手にとって使えるのはわずかです。エンドレスに続くものもあり事前の準備に手間がかかりますが、幼いころの楽しみを今に届けるのはボランティアとして楽しみでもあり相談に乗ってくれる図書館もあります。歴史を知る手段としてやってみる価値もあると思います。なお『紙芝居体系1~14』は街頭紙芝居が本になっているので、個人的にそれをめくってみると楽しいかもしれません。
⑨ 外国の紙芝居
外国の昔話や名作を日本の脚本家が紙芝居にしたもの、またはラオスやベトナムなどの作者が作ったものの2種類あります。前者は⑤⑥に書いたとおりですが、原作と別作品になっている物については、そう変化させたのは日本人です。後者は、途上国支援の目的などで日本の技術者が関わって作られたものが多く、その手作り感は外国の人がすぐ傍にいて一緒に世間話をしているような感じです。本来の外国の紙芝居は後者のものですが、数が少ないので前者も外国物として大切にしたいと思います。
① ネタ帳に記録する
演じてはじめて全体の様子が分かり作品として完結するので、他人に演じてもらい評価します。
種類や作者名や自分で感じたことなど、内容をノートに書きます。図書館ではタイトルの1文字でも違うとコンピューターで探すことができず、図書館司書も紙芝居の教育を受けていず、文献も少なく、自分の記録を見ながらの作業が重要なのです。
自分で主体的に作品を指定していく習慣を持ちましょう。所蔵はあるが借り出されていることも多いので、棚の中に今あるものから選ぼうとするのは売れ残り食材でお客様をもてなすことと同じで、いろいろな分野の作品を見て少しでも面白いものを探そうとする努力が必要です。
たくさん見ていくと作品を区別できるようになりますが、ささいなことにこだわって差別にならないよう気をつけましょう。
② 公共の場所での感覚
基本的には公共のモラルという制限があり、手作り紙芝居には多くの人の意見を聞く必要があると思います。自分が好きである、聞き手が楽しめる、その場にいない人たちを含む地域の文化にとってどうか、という三角を想像し、そのバランスをとっていきます。いつでも完璧にできるわけはなく失敗もありますが、心のどこかにそれがあれば周囲の信用を得ることができます。結局良し悪しは受ける側が決めることですから、力まずいろいろ付け加えましょう。
③ メッセージ性と物語性を比べる
おはなしには大なり小なりメッセージが込められて当たり前ですが、内容を天秤にかけて筋立てがおもしろいと感じるものを大切にしたいと思います。ただ、作品から受ける印象は人それぞれで意見を無理に合わせる必要はないので、会にはいろいろな人が参加し流動性をもたせ風通しを良くし、一つの作品に必要以上に重きをおかない状態が良いと思います。
高齢者の集まりへはあるメッセージは皆の共通の思いになることが多く刺激もまた必要とされるようなので、メッセージ性の強いものもいいかもしれません。また行事や物事の起源、科学もの、簡単なしつけものは教育臭が少なくプログラムに入れると目先が変わるのでおすすめです。
④ 子どもに対して
未就園児0~3歳くらいのお子さんには、刺激のあるものは避けるのがマナーで、幼い子に与えるカレーは、辛すぎず砂糖どっさりでもなくといった配慮をするのと同じです。しっかり線引きできませんが、それ以上の年齢の子どもには世の不思議を枠の中に覗き見る楽しみを届けたいものです。しかし現実問題、参加する子どもの範囲が分からない場合、いろいろな種類の紙芝居を揃えることで対応することになります。
⑤ 名作紙芝居
名作紙芝居とは宮沢賢治やアンデルセンなど著名な作者の原作を紙芝居にしたものです。それらは原作を脚本に作り変えるので、文体(語り口)はかなり変わっていますし、紙芝居の絵が人それぞれの心の中の絵とかけ離れているかもしれません。また、原作の内容に創作を加えている紙芝居が現にある事実を知り、原作とは別物という視点で語りましょう。大人の演じ手がその紙芝居を好きだという気持ちは大切にするべきですが、ブランド品の偽物を自慢しているようなことにならないよう。子どもが名作紙芝居を演じるのは、その作品を知るきっかけになり、登場人物に気持ちをのせて語れば理解も深まります。原作は短篇であることが多く、原作をセットにすると良いと思います。
⑥ 昔話紙芝居
昔話は、庶民が、書かれた物や口伝えでバトンを渡してきたという名作とは違った歴史があり、語り手は誰でもいつでも昔話の再話者です。ハレの日に人が語ってくれるということも含めた庶民の楽しみでした。時代が変わり著作権の世の中になりましたが、紙芝居は自由に語り変えても良い道具としてありますので、活用したいと思います。
また、鮮やかに変化する魔法の場面のように様式的な面白さを良く伝えることができます。たった2枚の絵の動きが聞き手の想像力を掘り起こし、動画のように見えてくるからです。今の子どもに分かりにくい場面も絵で描かれ、「いつかどこか知らないけれど」という昔話の特質のようなものに照らせば、場面を画家に限定してもらった絵で語ることも納得できるように思います。
脚本は、名作の分野と同じように大胆に書き変えが行われていますので、大勢の人々が昔話研究に取り組む姿勢に敬意を持ち、気軽に「これは昔話」と聞き手に向かって口にするのは避けましょう。一つの方法として、本筋や人物の動きがあっさり語られるよう文を変えることもできます。ただ、昔話は地域独自の付け加えが楽しくもあり、どこまでが本筋か分からない部分もあり、特徴は学べてもおはなしの等級分けは不可能なのではないでしょうか。
⑦ 今の時代に合うか、合わせる必要があるか
紙芝居は昔の感覚で彩られた作品がそのまま残っていたり、逆に新作に実演者の感覚が追いつかない場合もあります。定期刊行やセット販売で評価がまちまちで、保育のためや子ども自身が演じるためのものもあり、それは「子ども文化」としての価値があります。事前の検討をし、演じ手は自分の感性を大切にして選ぶ、そして「自分はこう思う」と意見を交わす、それを繰り返していきましょう。昔話は差別的と思われる部分も多いですが、昔話か創作か見極めたうえで昔話原作なら気にする必要はなく、つまり自分の納得できる作品をやることが大切です。
⑧ レトロはどうするか
特に高齢者施設では街頭紙芝居の要望が高いですが、それらは博物館に収蔵され、手にとって使えるのはわずかです。エンドレスに続くものもあり事前の準備に手間がかかりますが、幼いころの楽しみを今に届けるのはボランティアとして楽しみでもあり相談に乗ってくれる図書館もあります。歴史を知る手段としてやってみる価値もあると思います。なお『紙芝居体系1~14』は街頭紙芝居が本になっているので、個人的にそれをめくってみると楽しいかもしれません。
⑨ 外国の紙芝居
外国の昔話や名作を日本の脚本家が紙芝居にしたもの、またはラオスやベトナムなどの作者が作ったものの2種類あります。前者は⑤⑥に書いたとおりですが、原作と別作品になっている物については、そう変化させたのは日本人です。後者は、途上国支援の目的などで日本の技術者が関わって作られたものが多く、その手作り感は外国の人がすぐ傍にいて一緒に世間話をしているような感じです。本来の外国の紙芝居は後者のものですが、数が少ないので前者も外国物として大切にしたいと思います。
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