当番表にまつわる思い出

 随分前から、私は活動団体2つの「年間当番表」をつくる係をやっています。
若い頃の仕事の関係でタイプ打ちに慣れていたせいか、ブラインドタッチができ、今、色々と役に立っています。会が年間活動するときの予定をA4で1枚の表に作成し、何月何日のどこそこの場所の担当は誰それ、とすぐに分かるようにして作ります。
 なお、かみしばいクラブでは、これを一ページに一ヶ月分をぬき書きして拡大し、12ヶ月分をまとめてノート形式にし、各自1冊づつ持っていてもらうようにしました。定例会のたびにそれぞれが記録や気付いたことを書き込み、訪問者の変更などもすり合わせながら書き込み、打ち合わせ記録にしてもらっています。

 思い出があります。私は数年前までもう一つの絵本団体に入っていました。そこでは個人的に色々な批判を浴びながらも淡々と自分の思うように当番をこなしていました。16年春にかみしばいクラブができたので辞めることにしたのですが、ある先輩は、今までの高圧的な口調をガラリと変えて穏やかな口ぶりで、こういう風に言われたのです。
 「あなたはちょっと考え方が変わっているが、パソコン操作が上手い。だから読み聞かせもプログラムも作らなくていいから、当番表を作るために在籍しないか。」
 おそらくは、悪気もなく、もしかしたら誰かの差し金でそういう発言になったのかも知れませんが、これには絶句しました。そして、誰かの気に入られないと読み聞かせもできない、そんな地域になるのかと寒々としたのを覚えています。
 他には、組織として、私が退会して余計なことを喋ることを恐れたのかなあ、と勝手に推測しました。自分たちは本物だから、誰もが会員として名前をとどめておきたいに違いないという、奇妙な自信も見えてきました。読み継がれた本を優先するのがポリシーであり、図書館指導者と同じ気風だから自分たちは本物、というスタンスでした。

 だから私は、かみしばいクラブの代表になったときは、どんな考えの人も、どんな生まれの人も、上手い下手に関係なく、だれでも語れるシステムをしっかり作らなくてはならないと思いました。 お上手な面だけ子どもに見せて満足するのは、大人の側です。誰でも上手くなっている最中ですから、誰でも始められてお互いに尊重できる、そんなシステムが必要です。その中でこそ、めいめいが安心して協調しながら自分を表現でき、それが楽しさに繋がるのではないかという(もちろんその当時はそんな理論構築はできませんでしたが)、ぼんやりした方向性でした。だからきっと私はこれからもずっと、希望する人は希望する場所や時に、バランスをとりながら活動できるように、そのためにキーボードをたたきたいと思っています。

 私が何故こんなことを書くかというと、学校図書館のボランティア研修の文章を読んだからです。読み継がれた本をメインにするという考え方は今も変わらず、指導者の思うままで続いています。それは差別であるという、一部の意見にはまったく無頓着のご様子。ボランティアも講師先生の言うとおりにすることに、あまり疑問を抱かない様子があります。
 「市民の図書館・みんなの図書館」を目指すならば、ボランティア同士の話し合いで本の選び方も決まっていきそうなものですが、「指導者の指示の元に一斉にやる」という路線なのでしょう。学校という場所だから、また、朝学習という短いコマだから、という理由もあることでしょう。  その流れで、これから新潟市内の学校全部が、そのような指導がされたボランティアが入っていくのでしょうか。「私たちは本物」、その目線の人が量産され、自分の考えを周囲と無理やり合わせていく、そんなボランティアが増えていくことを、大変恐ろしいことだと思っています。
 「差別だから駄目だ」というのではありません。大人が、自分たちの都合で特定のものを排除したり特別扱いしたり、そういう態度をとっている限り、子どもはそれを当たり前のこととして見習うかまたは大人を信用しないか、どちらかでしょう。現実に今、そういう世の中になっているとも思えます。そして、それで平和を作ることができるでしょうか。いじめをなくせと声高に叫ぶならば、その原因をしっかり考えて修正する必要があると考えています。

 今、東京消防庁に「言うことを聞かなければ処分する」などという発言があったとかなかったとか、騒がしいようです。でも、都知事も「君が代の時に起立しなければ処分」の路線を行ったはずなのにね。
 仲良しボランティアも大切だけど「読み継がれた本を読まなければ処分する」なんてことにならないようにしようねと、そこの一歩手前まで行った私はずっと言い続けるつもりです。

 

 

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