個人的にロック・ミュージックが好きである。それもポップスよりでなく、かなり実験的な方の、過激なものとか。kornとか、ポスト・パンクのニューウェーウ系のジョイ・デビジョンやスージ&バンシーズとか。最近はエレクトロニカが面白いのでよく聴いている。斬新なスタイルのものが多い。
ところでロックといえば昔は反体制、という感じで60年代から70年代のアメリカ西海岸のヒッピー・ムーブメントやら、暴れん坊将軍、ブリティッシュ・ロックの雄、レッド・ツェッペリンなどがロックの祖父に相応する。ポスト・パンクやニューウェーブがお父さん、デッド・マウスなんかが息子に相当、という感じか。
ジョン・レノンといえば当然、おじいさん世代に属する。最近、「尖閣は日本が盗んだようなもの」という爆弾、迷惑発言で物議をかもした鳩山由紀夫氏の属する全共闘世代、団塊世代に神格化されているロックの祖先である。よくよく考えると、有名なイマジンの歌詞は、ポスト・コロニアム思想と似ているし、国家を超えた超市民、地球市民という夢幻に陶酔できる感性はまさしく左翼ちっくなものだ。過激派、赤軍は共産ソ連に背後から操られた反米・反日闘争だったわけだが、鳩山由紀夫氏はそういう若かりし頃の理念を未だに持ち続けている純粋な反日分子なのかもしれない。こういう人を党首にしてた民主党というのはすごいな、と思うと同時に民主党を与党にした大衆の恐ろしさも感じたりする。
ジョン・レノンやアメリカ西海岸に花開いたヒッピー・カルチャーは自然食志向、環境保護、菜食主義などを現代社会にもたらした。ヨガが一般化したのもインド思想の流入とともに西海岸でそれが流行ったからである。ヒッピー文化がアメリカ文化の一翼を担ったことは否めないが、マイナスの側面ももたらしたことも知らなくてはならない。
それは、ヒッピー・ムーブメントの思想的指導者がフランクフルト学派という、ポスト・マルキシズムによって洗脳されていたことである。ポスト・マルキシズムとはつまり、マルクス主義におけるプロレタリアート革命を文化革命に置き換え、体制や国家を破壊しようという思想である。男女平等、反国家主義、反戦、反核、反原発、自然主義。こうして列挙すると、当時のヒッピー・カルチャーは左翼思想の近代の祖であるジャン・ジャック・ルソーのそれにも近いことがわかる。
フランクフロト学派とは、その名からもわかるようにドイツ在住のユダヤ系コミュニストのグラムシ、ルカーチといった『共産主義革命の戦略変更』を行ったグループがヒットラーのユダヤ人弾圧を逃れてアメリカへ移住して発展したものである。
アメリカが保守主義の国でありながら、米民主党という左翼政党が存在し、ヒッピー文化やリベラルと呼ばれる左翼系も根強いのはフランクフルト学派の功績も大きいだろう。もっとも、この『功績』とは当時、反米にやっきだったソ連などにとっての功績であったわけだが。