急に思い立って出かけた歌舞伎座
一幕見だし、盛夏にわざわざ着物を着なくても…と
思ったのだけど
行ってみれば予想以上にお着物姿の人が多くて
ウキウキと、高揚しちゃったりして。
さて、今回観たのは山本周五郎原作「ゆうれい貸屋」。
腕はたつのに怠け者の桶屋 弥六。
愛想をつかした女房が出ていった後、突如あらわれた
美しい芸者のゆうれい、染次と
「恨みを晴らしたい人にゆうれいを貸す」商売を企て
ひと儲け。
でも最後はやきもちやきの染次にとり殺されそうになり……と
いった、非常にわかりやすいストーリー。
10年以上前からみっくんを観ている私は
(ああ、こんなだめっぽい中年?おじさんの役も
こなすようになったんだなあ)と、まずそこで感心。
そして児太郎さん演じる芸者ゆうれいの、
そのへんにいる疲れた現代人より
よっぽど生気にあふれビジョン(?)をもっているさまに
圧倒されて。
もしもこんなゆうれいばかりが存在するとしたら
浮世などたやすく乗っ取られそうだ。
染次が典型的なのですが、ほかの
勘九郎ゆうれい(失礼)も、鶴松さんのお千代ちゃんゆうれいも、
「ひともうけしたい」「(お釈迦様のもとで)いい暮らしをしたい」
「男性にちやほやされたい」と、夢のオンパレード。
でも夢って本来、時間が有限だからこそかなえがいがあるものではないの?
……と、思ってしまうわけです。
だからこそ、この舞台のゆうれいたちは
生きている人以上に活き活きと、リアリティを醸し出しているのかも
知れませんが……。
登場人物は少ないものの
原作に忠実な展開だったと思うのですが
三部制だったせいか、ちょっと駆け足な感じもし
人情味を堪能するには、時間が短かったかなあ……。
でも物語の核をなす「なにごとも、生きているうち」の
勘九郎さんの演技はとても良かったし、
ほかも役者ぞろいで、きれいにまとまっていたと思います。
くすっと笑える桶屋ならではの言い回しやオチも楽しく
気楽に観れました。
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