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神奈川絵美の「えみごのみ」

坂東三津五郎さんの死を悼んで

坂東三津五郎さんの訃報は、
前回のブログ記事アップ後、22日の夜遅くに知りました。
早すぎる死に、今も重い気持ちでいます。

私はそう頻繁には、歌舞伎に足を運んでおらず、
三津五郎さんの生の舞台は2回ほどしか観られませんでしたが、
頭からつま先、手指の先にいたるまでのしなやかさ、
踊りの表現力に、惚れ惚れと見入ったものでした。

他の、着物の先輩方のように、
三津五郎さんの想い出を語ることはできないのですが、
昨夏に紹介した、
膵がん(膵臓がん)に関する記事を、再掲したいと思います。



(画像をクリックすると別ウインドウで記事にとびます)


私は、実は2009年~10年にかけて、
今ようやく、厚生労働省が検証に動き出した
免疫細胞治療に関する執筆の仕事のため、
おもながん種はほとんど、北海道から福岡まで専門医を訪ね
取材を重ねていました。
多種多様ながんの話の中でも、すい臓がんは特に
早期発見の難しさや、それゆえの治療の困難さが際立っており
取材時のことが、記憶に強く残っています。

膵臓がんの化学療法(抗がん剤治療)で第一選択となる
ゲムシタビン(ジェムザール)は、国内に登場した1990年代末当時
(膵癌の適応は2001年~)、
余命を延ばす画期的な薬と言われました。
それでも「余命3カ月の人が、半年になる」レベルです。
健康な人なら、「たった3カ月」の感覚でしょう。でも

「3カ月では、何もできなくても(しかも3カ月間元気に動けるわけでなく
だんだん弱ってしまう)、
6カ月になれば、その間にやりたいことが一つでもできる」

これは、上のリンク先の医師が、2010年の取材時に言った言葉です。
これを聞いて私は、切なさで胸がふさがれるような思いでした。


この医師は、超音波内視鏡に針をつけた器具で、
膵臓にできたがんに直接、抗がん剤を注入する手技を持っています。
しかし、すい臓がんは転移が早いため、原発巣に注入できても
すでに体のあちらこちらに広がっており、予後の改善には今のところ
つながっていないとか。。。

それでも日々、こうした難治性のがんに対する治療は
研究が重ねられています。
また、上の記事中にもありますが、「慢性膵炎」があると、
がんになるリスクが高まるので、
膵炎が見つかったらこまめに検査を受けることで、早期発見がしやすくなることも
わかってきています。

(炎症や傷があると、がん化しやすいのは、多くの臓器に言えることです)


将来、より良い治療法が実用化されることを期待するとともに、
健康を守るための適切な情報を、多くの方と共有したい。それが私の願いです。

コメント一覧

神奈川絵美
すずらんさんへ
こんにちは。
歌舞伎鑑賞歴の浅い私でも、
重く悲しい心持ちでおりますのに、
まして小さいころから歌舞伎をご覧になっている
すずらんさんのお気持ちを思うと、
こうして書いていても、目の前がにじんでくるようです。

勘三郎さんのご葬儀のとき、三津五郎さんが
いつか自分もそっちへ行くから、そしたらまた一緒に…
というような弔辞を述べられたそうですが、
あまりにも早いですよね。
私も、もっと、三津五郎さん(勘三郎さんや団十郎さんもですが…)の生の舞台を観たかったです。

おっしゃる通り、已之助さんにはしっかり、魂を
引き継いで、立派になっていただきたいなあと…
まだ若く、プレッシャーもあると思いますが…。
神奈川絵美
セージグリーンさんへ
こんにちは。
1カ月とは・・・。48歳では予想だにしなかったと
思いますし、お気の毒でなりません。

糖尿病は怖いですよね。
膵がんはもちろん密接な関係があるわけですが、
どのがん種でも、増悪因子になるといっていいと思います。
そういえば、S-1(TS-1)も標準治療に
入ってきたんですよね。
ジェムもS-1も副作用はかなり。。。と思います。
それでも、最後の最後まで、已之助さんに
「親の背中」を見せた三津五郎さん、
次世代がしっかり、魂を引き継いでほしいなと
僭越ながら思いました。
すずらん
悲しくて悔しくて
三津五郎さんの訃報に際し、驚きとともに深い無力感にとらわれて、仕事も手に付きません。
三津五郎さんが勘三郎さんへ送った弔辞「肉体の芸術って辛いね。死んだら何もなくなっちゃうもの。」この言葉が時を経ずして自身に降りかかってくるとは。何たる運命。神様は何を思ってまだまだ為すべきことのある彼を召されたのか。
幼なじみであった勘三郎さんが「天才肌」「型破り」であるなら彼は堅実に「型」を守ってきた。二人は相互補完の関係であったと言えましょう。
その二人が亡くなった今、「企画」「着想」と「技術」「伝承」の司令塔を一気に失ったことになります。「伝承」ということでは若手に技術を伝える役割をする人がここ数年でごっそりいなくなってしまい、三津五郎さんには数少ない「教師」として望みを託しておりましたのに。
本当に悲しくて、悔しくて。
彼の江戸前で端正な踊りはもう見られないのです。ご子息の巳之助さんが良い師に恵まれ、父上のような立派な役者さんになれますように、陰ながら応援したいと思います。
セージグリーン
興味深く拝読しました。
サイレントキラーの名の通り、膵臓がんは早期では無症状の場合が多いですから、背中が痛くなって発見される段階では、相当進行していると考えられますね。
幼なじみだった6歳年下の男性も、48歳の若さで、政治部記者としての激務の果てに背中の痛みを訴え、発見からわずか1ヶ月で亡くなりました。湿布薬を沢山買い込んでいたそうです。
また、里の父も腹痛と膨満感から受診したところ、すでに癌性腹膜炎を起こしており、それから二ヶ月半の命でした。膵がんのリスクファクターである糖尿病でかかっていたホームドクターも、自分の甘さを認めていました。

三津五郎さんの闘病については、12月の舞台の休演を聴いたとき、厳しいのではないかと薄々感じていました。
昨夏、店頭でパラパラめくった雑誌のインタビューで、超早期発見で(腫瘍マーカーもマイナス、エステラーゼだけが少し高めだった)手術も上手く行き、抗がん剤の副作用もなく、7ヶ月の療養を経て舞台復帰されたとのことでした。
しかし、雑誌の写真でも抗がん剤(ジェムザール、もしくはTS-1)の副作用と思われる様子も現れていましたもの、、、。
再発の治療は順調だったと聞きますし、年頭、ご子息に踊りの稽古をつけてらしたので、インフルエンザに感染されなければ、、、と残念に思います。
おそらく、抗がん剤の副作用による骨髄抑制のために、抵抗力が減衰していらしたのでしょう。
予後の悪いガンの研究が進むよう、祈るばかりです。
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